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【助産師執筆】産後3週
毎日が心配…そんなママとパパのための、
赤ちゃんを病院に連れて行ったほうがいい目安

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赤ちゃんは日々成長し、ころころと変化する表情は、とても愛しいですね。
一緒に過ごす中で心配な症状が出てくることがありますが、ママとパパの「あれ?」というちょっとした気づきはとても大切です。
もし皮膚の症状が出てきたら、他の部分にも出ていないか全身を観察しましょう。
受診する時には「いつから」「どの部位に」「どのような」症状がみられているのか、経過を伝えることが大切です。
赤ちゃんの様子、全身の状態をよく観察することをぜひ習慣にしてください。
今回は、受診の目安の症状を紹介します。
迷った時にはご出産された病院やお住まいの地域にある相談窓口が利用できることも知っていてくださいね。

  • スキンケアの基本は泡で洗う・よく洗い流す・しっかり保湿
  • 黒・赤・白のうんちは受診のサイン
  • 「なんとなく元気がない」早期発見はその感覚が重要
  • 判断に困った時には #8000
  • かかりつけ医をみつけよう

赤ちゃんによくみられる症状・受診の目安※1~5

●皮膚の観察
・脂漏性湿疹
皮脂の分泌が多いため、頭、額、わき、股、肛門部などに赤い湿疹が出やすいです。時間が経つと黄色いかさぶたになることもあり、脂漏性湿疹といわれます。
清潔に保つことや、保湿が大事。症状が長引くときには医療機関を受診してくださいね。
・あせも
汗の出口が汗や垢でふさがれ、皮膚の中で炎症を起こした状態です。
新生児は大人と同じ数の汗腺がありますが、まだしっかりと汗を出すことができません。
皮脂分泌も多いため、首、わき、背中、おむつが当たる下腹部など、汗をかきやすい部分に細かい発疹ができやすいです。
汗をこまめに拭き取り、涼しく通気性のよい環境で皮膚を清潔に保ちましょう。皮膚感染症の場合もあるので、受診をお勧めします。
・おむつかぶれ
汗、尿、便などの刺激によってお尻周辺の皮膚が赤くただれた状態です。
便をこすり取ることをためらい、完全に取りきらない状態でおむつ交換を終えていると悪化させてしまいます。
こまめにおむつを替え、おしりシャワーや臀部浴で洗いましょう。ひどくただれ、炎症を起こしている場合には、小児科や皮膚科を受診してください。
●皮膚が黄色い…※6,7

母乳を飲んでいる赤ちゃんは、黄疸が2週間以上続くことがありますが、退院した時と比べてどうか、皮膚や白目の色を確認しましょう。

受診の目安

  • どんどん黄色味が強くなってきた
  • なんとなく元気がない
  • いつもと比べて1回の哺乳量が少ないことが続く
  • いつもと比べて尿や便がの回数や量が減っている

以上の時には受診するようにしてください。

●目やにの拭き方

目やには、濡れたガーゼやコットンでこまめに拭き取り様子をみます。
拭き取る時は症状が出ていない反対側の目に汚れを移さないように注意してください。
黄緑色の目やにで目が開かない、白目が充血しているという場合は、小児科や眼科を受診しましょう。

●おへその手当て

へその緒は生後1週間前後で取れます。お風呂に入った後は、綿棒などを用いておへそ周辺の水気を拭き取ります。
へその緒が取れてからも、綿棒に血やじゅくじゅくしたものがつかなくなり乾燥するまで拭き取りを続けましょう。
おへその消毒について様々な研究が行われてきましたが、最適な方法は確立されていません。おへそは乾燥させるほうが良いことはわかっています。

受診の目安

  • 赤い血が出て拭き取っても止まらない
  • おへその周りの皮膚が赤く熱を持っている、皮膚がかぶれている
  • へその緒の取れた後に残る芯のようなもの(臍肉芽)ができている

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以上の時には受診するようにしてください。

●排泄は健康のバロメーター
便の状態※7,8,9
注意が必要な便の色は、黒・赤・白です。黒や赤は消化器官で出血している可能性が考えられます。
また、白っぽい便は胆道閉鎖症やウイルス性の症状で見られ、母子健康手帳に記載の便色①〜③は特に注意です。
このようないつもと違う色の便を見た時には、そのおむつを袋に入れて受診の際に持参するようにしましょう。

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下痢・嘔吐※4,10,11
機嫌よく哺乳ができている場合には特別な対処をせず様子をみることがありますが、以下の症状がみられる場合には受診が必要です。

受診の目安

  • 授乳のたびに噴水のように吐く
  • 吐いた後に白っぽい下痢が続く
  • ぐったりしていて時間が経っても飲まない
  • 赤や黒や緑色のものを吐いた
  • 何日も下痢が続いて体重が減る
  • 頭のくぼみ(大泉門)がへこんでいる
便秘の時は
手のひらで「の」の字を書くようにおなかをマッサージをします。それでもなかなか出ない場合には、肛門を直接刺激する方法があります。

肛門刺激の方法

綿棒にベビーオイルをつけて肛門に1cmほど挿入し、ゆっくり回して刺激します。
刺激ですぐ排便する可能性もあるため、おむつを敷いて行います。

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熱が出た※12

赤ちゃんの体温は大人よりも高く、個人差はありますが36.5~37.5度が正常の範囲です。
赤ちゃんの体温が正常よりも高いまたは低い場合は、赤ちゃんの様子も合わせて観察しましょう。

受診の目安

  • 寝ているときに 38 度以上の熱がある
  • 乳首を含ませても飲まない、哺乳意欲がない
  • 手足を動かさずぐったりしている
  • 呼吸が浅くて速い
  • 喉や胸のあたりからゼーゼーと音がする

この場合は救急対応のできる病院を受診してください。

●乳幼児突然死症候群※13,14

今まで元気だった赤ちゃんが、眠っている間に突然亡くなる病気です。日本では出生6000~7000人に1人と推定され、生後2~6ヵ月に多いとされています。
発症は年々減少傾向にありますが、原因は明らかになっていません。

こんな時は救急車を呼びましょう

  • 授乳から時間が経つのにずっと寝ている
  • 青白く顔色が悪い、唇や口の周りが紫色
  • 呼吸をしていない

異変に気が付いて、足の裏をたたくなど刺激をしても泣かない場合には、すぐに医療措置が必要です。救急車を呼んでください。


赤ちゃんは薄着でも大丈夫ってホント?

赤ちゃんが過ごしやすい衣服がどのようなものなのか、悩まれている方も多いかもしれません。実は赤ちゃんは体温調節機能が未熟なので、赤ちゃんは直接冷房の空気が当たるところにいると身体が冷たくなりますし、日光に当たっていると身体が熱くなります。赤ちゃんが今暑い状態なのか、寒い状態なのかをママやパパが知るためには、赤ちゃんのサインを知ることが大切です。

暑い時のサイン

  • 背中やお腹周りが汗ばんでいる
  • 顔がほてっている
  • 髪の毛が汗で湿っている
  • 機嫌が悪い

寒い時のサイン

  • 背中やお腹周りが冷たい
  • 唇や口の周りが紫色

赤ちゃんの手足が冷たくなっていると、寒いのだろうと思い込んでしまいますが、実は赤ちゃんの手足は外気に触れやすいので、気温によって温かくなったり、冷たくなったりと変化しやすいです。そのため、手足が冷たい時はお腹も冷たくなっていないか確認してみてください。
もし、手足だけが冷たくなっているなら、手を包んで優しく温めてあげましょう。

また、寒い季節は衣服をたくさん着せてしまいがちですが、室内では薄着でも大丈夫です。衣服を着せすぎてしまうことで、汗をかいてしまい、あせもなどの皮膚トラブルが起こることもあります。
中には衣服に埋もれて呼吸ができない、股関節が固定されてしまう、からだの温めすぎはSIDSのリスクを上昇させるなど、赤ちゃんに良くない影響があることも忘れずに。

衣服で体温調節するときには、ポイントを押さえましょう。

  • 夏と冬で肌着の素材を変える
  • 着脱しやすい上着を持ち歩く
  • 汗をかいたら、こまめな着替えを

困った時には

こども医療電話相談事業【#8000】※15,16

休日・夜間のお子さまの症状にどのように対処したらよいのか、病院を受診したほうがよいのかなど判断に迷った時には、全国同一の短縮番号#8000があります。お住まいの窓口の小児科医師・看護師に電話で相談することができます。

かかりつけ医

出産した施設で健診や予防接種を予約し定期受診することも多いかと思います。
急な受診もできる診察体制、近場にあればかかりつけ医にできますが、里帰り出産や引越しなどで新しい受診先を探すこともあるかもしれません。
その場合には「小児科」と単科で看板を掲げている施設は小児科専門の医師が駐在しているので安心です。
自宅から通いやすいこと、紹介や口コミなども参考にしつつ、ママやパパが信頼できる医療者がいることも大切なポイントです。


いかがでしたでしょうか。注意したい状態や症状を知っておくことは、いざという時の対応につながります。
赤ちゃんとの生活は心配なことも尽きないと思いますが、迷った時には医療者に相談や受診をしてくださいね。

参考文献

※1 奈良間美保,系統看護学講座専門分野Ⅱ小児看護学2,医学書院,2011,418,427

※2 仁志田博司,新生児学入門第4版,医学書院,2013,119

※3 小林美代子,早期新生児期における保清方法の実態調査,新潟青龍大学,2008,99-106

※4 細谷亮太監修,暮らしの実用シリーズ 最新版 はじめての育児,学研パブリッシング,2010,217,231

※5 清水宏,あたらしい皮膚科学 第3版,中山書店,2018,24−26

※6 「周産期医学」編集委員会編,周産期医学vol.40増刊号,東京,東京医学社,2010,543

※7 森恵美他,系統看護学講座 専門分野Ⅱ 母性看護学2,東京,医学書院,2011,232-233,255-258

※8 社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 日本子ども家庭総合研究所,パパ・ママのための育児Q&A1500 東京,保健同人社,215

※9 池ノ上克他編,NEWエッセンシャル 産科学・婦人科学 第3版, 東京,医歯薬出版,2014,384

※10 松尾宣武他編,新体系看護学全書第30巻 小児看護学概論 小児保健,東京,メヂカルフレンド社,153

※11 横尾京子編,助産学講座8 助産診断・技術学Ⅱ[3]新生児期・乳幼児期,東京,医学書院,67,147

※12 水野克己,笑顔で子育てあんしん赤ちゃんナビ―6カ月よければすべてよし!―,大阪,メディカ出版,2013

※13 乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2版),厚生労働省,2022/02/28,
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/sids_guideline.pdf

※14 赤ちゃんの原因不明の突然死 「SIDS」の発症リスクを低くする3つのポイント,政府広報オンライン,内閣府大臣官房政府広報室,2021,2022/02/28,
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201710/2.html

※15 「こどもの救急」,ONLINE こどもの救急,公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY,2022/02/27,
http://kodomo-qq.jp/index.php

※16 こども医療電話相談事業(♯8000)について,厚生労働省,厚生労働省,2022/02/27閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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