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【助産師執筆】産後13週(産後3ヵ月)
今日はお散歩に出かけてみませんか?
親子で散歩のすすめ

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生後3ヵ月の赤ちゃんは、視覚・触覚・聴覚・嗅覚・味覚の五感がぐんと発達する時期です。
毎日忙しい育児に、お子さまの成長をあっという間に感じるママやパパは多いと思いますが、五感遊びを意識して取り入れると楽しいスキンシップになります。
五感遊びは、音が鳴るおもちゃを優しく振ってあげたり、黒や赤といった見やすい色の絵本を見せて読んだり、マッサージやいないいないばぁをするなど決して難しいものではありません。
外気浴とは外の空気に触れて慣れることですが、窓を開けて風を感じたりも良いですね。
また、生後3ヵ月の赤ちゃんは、特に理由もなく夕方頃に泣き出す”たそがれ泣き” と呼ばれる特徴もあります。原因やメカニズムは不明とされ、自然に消失するものですがとても大変ですよね。
今回は、そんな時の対応としても有効、かつ生活リズムの整え方のひとつでもある、お散歩についてお話しします。

  • 生後3ヵ月の赤ちゃんは、視覚・触覚・聴覚・嗅覚・味覚の五感がぐんと発達する
  • 昼と夜の区別をつけるには継続が大切
  • 日光浴は免疫機能アップ、くる病予防などの目的がある
  • お散歩はママも気分転換、コミュニケーションの幅が広がるなどの効果がある
  • ストレスフリーなお散歩のコツは事前準備にあり


赤ちゃんに生活リズムってあるの?

生後3ヵ月頃の赤ちゃんの睡眠時間は、1日約14~15時間程度です。
個人差もありますが、3~4時間連続して睡眠をとることもあります※1
可能であれば、日中よりも夜に一緒に休めることが理想ですよね。
少しずつ昼夜の区別もついてきますが、その感覚をつくるためには大人が生活リズムを整えることが大切です。
まず、朝起きたらカーテンを開けてお部屋の中に日光を入れることから始めましょう。
冬場や日当たりが悪く暗い場合は蛍光灯で調整しても良いです。日中は授乳の合間に五感遊びを中心に過ごしてみましょう。
夕方以降は、徐々に照明を落とし遮光カーテンを使うなどして室内を暗くしていきます。
ですが、生後3ヵ月の赤ちゃんの睡眠はまだ不安定ですし「夜に寝ない」や「夜全く起きない」など赤ちゃんにも個人差があります。
夜の睡眠の導入として子守唄を歌ったり、絵本を読んであげるなどのルーチンを決める時も、継続が大切です。

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お散歩はどうして必要なの?

お散歩を始めるタイミングとしては、基本的に1ヵ月健診を終えた後になります。より充実したお散歩にするために、改めてその目的や効果を知っていきましょう。

<目的・効果>

  • 日光を浴びたり、外の音や気温などの刺激を受けることができる
  • 外気に触れることで呼吸が鍛えられたり、免疫力や皮膚の抵抗力がつく
  • 日光浴により体内にビタミンDがつくられて骨が強くなる
  • 親子やご夫婦でコミュニケーションの幅が広がる
  • ママやパパの気分転換につながる

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お散歩にはたくさん良いことがあるとわかりますね。実は今、日本では乳幼児から高齢者まで幅広い世代において、魚類を食べることが減っていたり、日光に当たる時間が減少したことによる慢性的なビタミンD不足が報告されています※2。このビタミンD不足が原因で、お子さまはくる病、成人以降は骨軟化症のリスクが高まります※3。このことからも、お散歩は赤ちゃんのためだけではなく、ママもパパも日光を浴びることで健康的に過ごすことができるのですね。また最近は、女性の約10~15%の割合で産後うつが報告されていること※4や、パパが産後1年間にメンタルヘルスの不調のリスクがあるとされる割合は、ママとほぼ同じだと報告されています※5。実は、お散歩には心の調子を整える効果もあります。ぜひご夫婦で役割分担をしつつ、お散歩で1日のメリハリをつけると良いですね。


知っておきたいお散歩のコツ

こんな風にやってみよう

  • 1日10~15分程度の短時間で近場から始め、慣れてきたら徐々に時間や距離を伸ばしてみる
  • 赤ちゃんの体調を第一優先とし、体調や機嫌に合わせておやすみする日も確保する
  • 人混みや混雑を避け、親子でリラックスできる場所を選ぶ
  • 季節ごとに衣服や掛け物は調整しやすいものを選び、夏場は帽子や日傘、冬場は防寒カバーなどのアイテムを活用する
  • 紫外線対策として、適度に赤ちゃん用の日焼け止めや保湿を行う
  • ベビーカーや抱っこ紐を必ず使用しなければいけないということはありません

お散歩に必要なものって何だろう?

ストレスフリーなお散歩のコツは、事前準備にあります。また、お散歩にも注意点がありますのでそちらも含めてお伝えします。

●抱っこ紐やスリング
ベルトの長さ調整、抱っこしやすいサイズや位置などを確認しましょう。ママとパパそれぞれ使いやすいものを選ぶと良いですが、同じものを共有して使う場合は、その都度の調整が必要になります。
抱っこ紐の機能もそれぞれ特徴がありますので、まずは取り扱い説明書をよく読み確認して下さい。
特に、生後3ヵ月の頃は首すわり前のことが多く、縦抱っこをしていいかわからないことがあったり、装着してみても姿勢に違和感があり不安な場合は、そのままにせず予防接種の際にかかりつけ医に確認してみたり、抱っこ紐に詳しい助産院や購入した店舗などに相談することも大切です。
事前に練習してからお散歩に行きましょう。
●ベビーカー
赤ちゃんを寝かせた姿勢でベルトが緩んでいないか調整し、リクライニングやストッパーなども安全に使用できるか事前に確認しましょう。
赤ちゃんのお気に入りのおもちゃやタオルなども、落ちないようにクリップでぶら下げてベビーカーに装着しておくのもおすすめです。
特に夏場は、地面からの反射熱で温度が上がりやすくなっているので熱中症対策が必要です。保冷剤やベビーカー用の保冷シートを準備しておくと良いでしょう。
●レイングッズ
お散歩の前にその日の天気予報を確認しましょう。
特に梅雨の時期に関しては急な天候不良もありますので、折り畳み傘やレインカバーなど持ち運びしやすいアイテムがあると良いかもしれません。
基本的にはお天気の安定したタイミングでのお散歩がおすすめですが、雨の日も雨粒の音が聞こえたり、葉っぱが雫で濡れているなどいつもと違う刺激があります。無理のない範囲で楽しみましょう。
●赤ちゃんに必要なもの
お散歩中に困らないように、お着替えやおむつ、おむつ交換に必要なおしりふき・ビニール袋や巾着袋などを持参しましょう。
授乳やミルクのタイミングを避けてのお散歩が理想的ですが、授乳ケープやガーゼハンカチ、調乳セットもあると安心ですね。
赤ちゃんは汗もかきやすく、脱水予防の観点からも上記はぜひ参考にして下さい。
また、使用していればおしゃぶり、その他お気に入りの物があると赤ちゃんも安心してお散歩が楽しめます。
その他、母子手帳、お財布、携帯などいざという時に確認や連絡が取れるものがあるとより安心です。

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お散歩を通じて親子のやりとりの幅が広がり、親子で一緒に楽しめることが何よりです。お散歩中のエピソードをご夫婦で共有し合うことも素敵ですね。

気になることがあれば、いつでもXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 厚生労働科学研究費補助金 未就学児の睡眠・情報通信機器使用研究班,未就学児の睡眠指針,愛媛大学医学部附属病院 睡眠医療センター,2022/06/26閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/content/000375711.pdf

※2 「日本人の食事摂取基準」策定検討会,日本人の食事摂取基準(2020 年版) 「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書,2022/06/26閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

※3 ビタミンD欠乏症および依存症-09.栄養障害-MSDマニュアル プロフェッショナル版,2022/06/26閲覧,
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/09-%E6%A0%84%E9%A4%8A%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3%E6%AC%A0%E4%B9%8F%E7%97%87-%E4%BE%9D%E5%AD%98%E7%97%87-%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E4%B8%AD%E6%AF%92/%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3d%E6%AC%A0%E4%B9%8F%E7%97%87%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E4%BE%9D%E5%AD%98%E7%97%87?ruleredirectid=24

※4 公益社団法人 日本産婦人科医会,妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル ~産後ケアへの切れ目のない支援に向けて~,2022/06/26閲覧,
http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/11/jaogmental_L.pdf

※5 国立成育医療研究センター,産後、同時期にメンタルヘルスの不調で苦しんでいる夫婦は年間約3万組!?〜母子だけでなく、父親も含め世帯単位での支援やアセスメントが必要〜,2022/06/26閲覧,
https://www.ncchd.go.jp/press/2020/pr_20200827.html


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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