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【助産師執筆】産後15週(産後3ヵ月)
乳幼児3・4ヵ月健診で安心できる
知っておきたいポイント

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生後3・4ヵ月の赤ちゃんは、首がすわることでたて抱きの姿勢も可能になってきます。
そのため、赤ちゃんの視界が広がり、全身の使い方も変化することで急激にできることが増えていきます。
産後12週のコラム「どれも性教育の第一歩?!紙・布・おむつなし育児それぞれの考え」でもお伝えしたように、体の成長も加速する時期のため、体重は出生時の約2倍ほどになります。そんなお子さまの成長について、時には周りと比べてしまうこともあるかもしれません。
そこで今回は、乳幼児3・4ヵ月健診を受ける前に知っておきたいポイントを一緒におさえていきましょう。

  • 乳幼児健診とは、母子保健法に基づいて実施されている
  • 健診は医師が診察し、大きく4つの領域に分けて発達確認をしている
  • 問診では、育児状況やご家族の困り事などもチェック
  • 健診は、多様な相談事に対してそれぞれの専門家がいるため安心できる
  • 日頃から成長記録を残そう!状況を伝えやすい動画活用もオススメ

そもそも乳幼児健診って?

乳幼児健診は、正式には乳幼児健康診査と呼ばれています。
「満1歳6ヵ月を超えて満2歳に達しない幼児」に対して行う健診が1歳6ヵ月健診、そして「満3歳を超え満4歳に達しない幼児」に対して行う健診が3歳児健診と、母子保健法によって定められ、実施しています※1
これを法定健診といいます。
今回のテーマである3〜4ヵ月健診は、法定健診ではありませんが、ほとんどの市町村が無料で実施しています。
みなさんのお住まいにある保健センターから案内が届くようになっていますが、気になる方は直接お問い合わせ下さいね。
また、長期間里帰りする場合などは、今回出産したお子さまのごきょうだいが里帰り中に健診を受けるタイミング、という事もあるかもしれません。
違う地域の方が受診できるかは、地域によって異なります。
乳幼児健診は、お子さまの発育・発達を、できるだけ最適な時期に受けることが重要です。
そのため、里帰りの際は住民票のあるお住まいと、里帰り先の保健センターそれぞれにお尋ねください。
乳幼児健診は、小児科の医師がいる医療機関で実施していることもあります。
どちらも赤ちゃんの発育や栄養状況などの健康状態や、病気がないか、月齢に応じた発達かなどを確認しながら医師が必要な項目を診察しています。
医療機関ですと費用が発生する場合もあります。この任意健診は必須ではありませんが、受診したいご希望があれば、料金も含めて問い合わせしてみると良いでしょう。

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3〜4ヵ月健診での確認内容と、そのポイントは?

この時期の発達の確認内容は以下の4つの領域に分けられています※2

  • 粗大運動(全身を使って大きく動く運動)
    • 首がすわっている
    • うつ伏せにして、頭を上げる
    • 両足で体を支える

  • 微細運動(手や指を使って小さく動く運動)
    • ガラガラを握る
    • 180度追視する
    • 両手を合わせる

  • 個人-社会(自分の判断で行動できるようになるまでのプロセス)
    • 笑いかける
    • あやすと笑う
    • 手を見つめる

  • 言語
    • あー、うーなど発声がある
    • 声を出して笑う
    • 甲高い声を出して喜ぶ

ぜひ、日頃からお子さまの様子をよく観察して下さい。お子さまの発達は一人一人のペースや個人差もあります。また、赤ちゃんが生まれた時の週数や、体重などによっても成長は異なります。些細な事であっても、ママとパパやお子さまに関わる周囲の方々が温かく見守りながら、一緒に確認できると良いですね。
また、もしも赤ちゃんが早産児や低出生体重児だった場合は、健診時期を考慮する必要があります。というのも、赤ちゃんの発育や発達を修正月齢(元々の予定日を生まれた日として数えた月齢)で乳幼児身体発育評価マニュアル※3と比較しながらみていくためです※4。予定日より早く生まれたり、小さく生まれたりした分、基準よりも体格や発達がゆっくりであることはごく自然のことです。こうしたことを周囲が知っておくだけでも、大きな心くばりとなります。
赤ちゃんをもつママやパパは、お子さまのことを大切に思うあまり、比べたくなくても無意識に周りの子と比べてしまうこともあると思います。今回、参考までに3・4ヵ月健診におけるチェック項目を載せましたが、これだけでお子さまの全てを評価できるわけではありません。これは、今後の健診でも同様です。もし、それでもお子さまの発育・発達で気になることがありましたら、かかりつけの病院の医師に相談したり、お住まいの自治体の保健センターにご連絡下さい。

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健診は専門職へ相談できる良い機会の場

乳幼児健診では、様々な職種の人たちが集まっています。
お子さまの診察では、医師の他に看護師が付き添い、計測時には赤ちゃんの皮膚状態の様子もみています。
おむつかぶれや、あせもなど皮膚トラブルの相談事もその場で聞くと良いですね。
また、保健師からの問診時間があり、そこでは赤ちゃんの栄養や排泄状況を聞きます。
そしてママやパパからも予防接種のすすみ、夜泣きや生活リズムなどにおける日頃感じている困り事を相談できます。
なかなかゆっくりとそうした悩みを相談できる時間や場所がないと思いますが、健診は解決策のヒントをもらえる良い機会です。些細なことでも、気になっていることは質問してみましょう。
さらにこの機会に、支援センターや育児サロン、一時保育といった社会資源の活用方法なども保健師から聞くことができます。
自治体によって、助産師への授乳や抱っこの相談や、管理栄養士による離乳食の講座、これから生えてくる歯について歯科衛生士に相談できることもあります。
さらに、ママやパパに気分の落ち込みや精神的な不良などの悩みがある場合は、臨床心理士と繋がることもできます。
特に必要な場合には、健診後も継続してフォローをしてもらえます。
子育てをしていく上で大切なことは、とにかく自分たちだけで抱え込まずにいることです。
色々な相談事をサポートできるように様々な専門家がいます。どうぞ安心してくださいね。

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健診を受ける際のポイントについて

では、実際にどう相談すればスムーズでしょうか。その場ですぐに話せるかというと、そうでないこともあるでしょう。健診前になったら、相談内容を整理して準備することも大切です。
以下のポイントをぜひ参考にしてみて下さい。

健診前にやっておこう!

  • 母子手帳や成長記録に気になることをメモしておく
  • 写真や動画をとっておく
  • 時系列でまとめておく(大体の日にちや時間を把握しておく)
  • お薬手帳があれば持参しておく

いかがでしたか?乳幼児健診は、お子さまの発育・発達の確認や育児以外でも、ママやパパの困り事に対して多職種がサポートするための出会いの場です。
地域の中で安心して子育てができるように、連携しあいながらみなさんを見守っています。

気になることがあれば、いつでもXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 国⽴研究開発法⼈ 国⽴成育医療研究センター ,乳幼児健康診査事業 実践ガイド,厚生労働省,2022/06/25閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000520614.pdf

※2 国立研究開発法人 国立成育医療研究センター,乳幼児健康診査身体診察マニュアル,2022/06/25閲覧,
https://www.ncchd.go.jp/center/activity/kokoro_jigyo/manual.pdf

※3 国立保健医療科学院,乳幼児身体発育 評価マニュアル(令和3年3月改訂),2022/06/25閲覧,
https://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/hatsuiku/index.files/katsuyou_2021_3R.pdf

※4 小さく産まれた赤ちゃんへの保健指導のあり方に関する調査研究会,低出生体重児保健指導マニュアル,みずほ情報研株式会社,2022/06/25閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000592914.pdf


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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