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【助産師執筆】産後18週(産後4ヵ月)
夜泣きに悩むママとパパに伝えたいこと

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こんばんは。睡眠時間は確保できていますか?中には夜泣きが再開した……と悩んでる方もいらっしゃるかもしれません。24時間休む間もない子育てにやっと慣れてきたかなと思っていたのに、急に赤ちゃんの夜泣きが始まった、再開した!こんな夜がいつまで続くのだろうかと心配になってしまいますよね。ずっと泣いてどこか病気なのではないかな?毎晩ご近所迷惑になっていそう。と困ってしまったり、そろそろ夜しっかり寝かせて!とイライラしたりすることもあるかもしれません。この時期の赤ちゃんの特徴、夜泣きの対策を知って、眠れない夜の不安を減らしましょう。

  • 夜泣きにはピークの時期がある
  • 生後3〜4ヵ月は睡眠リズムがつき始める時期
  • パパの抱っこはあやし上手⁈
  • 眠れない夜も気分転換は大切!

夜泣きはいつからいつまで?

赤ちゃんの眠り※1, 2

おなかにいる頃の赤ちゃんの脳でも、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)の周期が40~50分ごとに繰り返していることがわかっています。浅い眠りの時には胎児も多くの酸素を消費するため夜間の方がその時間が長く、日中は活動している母体への負担を軽減していると言われています。赤ちゃんは生まれてからもその名残りがあり、2〜3時間ごとの睡眠と覚醒のリズムで1日を過ごします。

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レム睡眠とノンレム睡眠※1,2

大人の場合はレム睡眠とノンレム睡眠の周期は90~120分ですが、新生児では40~50分、生後3〜4ヵ月で50~60分と、月齢に応じて変化し、5歳頃でようやく大人と同じくらいに近づきます。新生児期は日中と夜間の睡眠時間はほとんど同じで、生後3ヵ月頃になると、レム睡眠が減少し、起きている時間が少し長くなってきます。赤ちゃんの睡眠はどの月齢にも共通して大人よりも浅く、レム睡眠からノンレム睡眠に切り替わる時に起きてしまいやすい状態にあると言えます。

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夜泣きのピークは?

乳幼児などが夜眠らずに泣くことを「夜泣き」と呼びます。赤ちゃんの夜泣きは生後2週頃から増えて、生後6週頃(生後1〜2ヵ月)にピークとなり、そのピークを過ぎると生後4〜6ヵ月には自然に減ってくると言われています。個人差もありますが、正常な発達の過程に起こることの一つです。ピークの頃は、夕方から泣くことが多いので「黄昏泣き」「夕暮れ泣き」という呼び名もあります。海外でも「コリック」や泣き方の6つの特徴の頭文字を取って「パープルクライング」と呼ばれ、赤ちゃんの3〜28%に認められることがわかっています。

泣き方の特徴:パープル(PURPLE)

  • P:Peak of Crying(ピークがある)
  • U:Unexpected(予測ができない)
  • R:Resists soothing(なだめても泣き止まない)
  • P:Pain-like face(痛そうな表情をする)
  • L:Long lasting(長時間続く)
  • E:Evening(夕方から夜によく泣く)

生後3〜4ヵ月の発達の特徴※7,8

感情の発達

生後3カ月頃から感情を司る領域の大脳辺縁系が急激に発達してきます。赤ちゃんがはじめに獲得する感情が「快・不快」で、はっきりとした感情をまだ持っていない時期には理由なく泣いていることもありますが、不快な原因を探り解消することも大切です。また、ママやパパの不安な気持ちなどに敏感に反応して泣いていることもあります。

不快な原因の例

  • おむつや衣類が濡れている
  • おなかが空いている
  • 暑い、寒い
  • 眠いのに寝付けない
  • 便やガスでおなかが張っている
睡眠退行

赤ちゃんは生後3〜4ヵ月頃から徐々に昼夜のリズムがつき、体内時計が整い始めます。レム睡眠が急激に減少する時期でもあるため、睡眠パターンが変わり、夜間に何度も起きたり、ぐずぐずしたりすることが増えることがあります。この体内時計の調整に関わるホルモンが眠気を促す「メラトニン」で、生後1歳頃までに夜の分泌量が増えていきます。変化が大きい最も敏感な時期が過ぎると、睡眠は次第に安定してくることが多いです。


知っておきたい夜泣き対策

赤ちゃんがより良い睡眠につけるように、ママとパパができるポイントをいくつか紹介します。※2,6,7,8

睡眠環境を整える

夜泣きが続くと心配になりますし、ママやパパも睡眠不足で疲れてしまいますよね。赤ちゃんが不快を感じている場合はその原因を探ってそれを取り除くことが重要ですが、成長発達の過程で一時的に「泣きやまない時期がある」と認識しておくことも大切です。その上で、不快な原因を取り除き心地よく眠れる室内環境、体勢、寝かしつけのルーティンを作ることも赤ちゃんがより良い睡眠につくひとつの方法です。ぜひ、赤ちゃんの睡眠環境を観察してみてくださいね。

ブルーライトの刺激を減らす※8

夜にテレビやパソコン、携帯電話の画面などの人工的な光「ブルーライト」を見ると、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が抑えられ、寝つきが悪くなると言われています。入眠前の光の刺激を減らすことは赤ちゃんの寝かしつけにも大切です。また、朝日の光の色にも、目覚めを促す青い光が多く含まれているので、起床時間までは寝ている部屋に朝日が差し込まないよう遮光カーテンを活用してみましょう。

おくるみで包む

赤ちゃんはママのおなかの中にいた時のような体勢をとると安心します。バスタオルやおくるみを使って、手足や身体が丸くなるような姿勢を作ってみましょう。抱っこの時もこの姿勢を意識してしっかり胸元に引き寄せると安定しやすくなります。夜泣きでは、母乳などの匂いがするママよりもパパや家族の抱っこの方があやしやすいとも言われています。

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抱っこでゆらゆらと揺らす※9

もともと哺乳類の赤ちゃんには、親に口でくわえられて移動しているときに鳴いたり暴れたりすると親が運びにくくなり敵に見つかりやすくなるため、鳴き止む習性があります。これは、自然界で身を守るために備わっている本能で「輸送反応」と呼びます。人の赤ちゃんも、抱っこして歩くと心拍数が下がって落ち着き、リラックスできることが証明されています。

ホワイトノイズを試す※3,※8

テレビの砂嵐の音や波の音などの、周波数によらず一定である雑音をホワイトノイズと呼びます。赤ちゃんがおなかの中で聞いていたママの血液が流れる音に似ているため安心感を得られると考えられています。物音に敏感な赤ちゃんは音に反応して起きることがあるので、雑音を流したままにしてみることもひとつの方法です。


最後に

両親の健康も大切に

夜泣きがいつまで続くのかと夜が辛く、不安になることもあるでしょう。一人で抱え込まず、周囲の協力を得て、時には安全なところに赤ちゃんを寝かせて少し離れて両親が休憩して、気持ちをリフレッシュすることも大切です。そのような眠れぬ夜も「#ミッドワイフコール」を活用してくださいね。

参考文献

※1 未就学児の睡眠•情報通信機器使用研究班,未就学児の睡眠指針,愛媛大学医学部附属病院睡眠医療センター,2018, 2022/03/19閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/content/000375711.pdf

※2 NHKスペシャル取材班,ママたちが非常事態!?最新科学で読み解くニッポンの子育て,ポプラ社,2016

※3 広辞苑,岩波書店,2018

※4 泣きやまない赤ちゃん 泣きへの対処と理解のために,厚生労働省,2022/03/30閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000030731.pdf

※5 What is the Period of PURPLE Crying?,The Period of PURPLE Crying®,National Center on Shaken Baby Syndrome,2022/03/12閲覧,
http://www.purplecrying.info/

※6 小児における睡眠障害,MSDマニュアル プロフェッショナル版, 2022/03/12閲覧,
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/19-%E5%B0%8F%E5%85%90%E7%A7%91/%E5%B0%8F%E5%85%90%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E8%A1%8C%E5%8B%95%E4%B8%8A%E3%81%AE%E6%87%B8%E5%BF%B5%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E5%B0%8F%E5%85%90%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%9D%A1%E7%9C%A0%E9%9A%9C%E5%AE%B3

※7 Responding To Your Baby's Cries,Healthy Children,American Academy of Pediatrics,2022/03/12閲覧,
https://www.healthychildren.org/English/ages-stages/baby/crying-colic/Pages/Responding-to-Your-Babys-Cries.aspx

※8 Sofia Axelrod,Ph.D,ノーベル賞×睡眠科学 赤いライトで朝までぐっすり 赤ちゃん寝かしつけの新常識,東洋館出版社,2020

※9 抱っこして歩くと赤ちゃんがリラックスする仕組みの一端を解明-経験則を科学的に証明、子育ての新たな指針に-,理化学研究所,2013/04/19,2022/03/29閲覧,
https://www.riken.jp/press/2013/20130419_2/


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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