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【助産師執筆】産後22週(産後5ヵ月)
お口の周りにブツブツが?
よだれが増えたこの時期にしておきたいこと

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生後4ヵ月を過ぎた頃から、赤ちゃんのよだれが急に増えてきたと感じる方も多いのではないでしょうか?1日に何枚もスタイを交換したり、お顔がべたべたになったりと大変ですよね。でも、そんなよだれも成長の証であり、役割があります。今回は、そんなよだれについてお伝えします!

  • 消化機能は整うが、よだれを飲み込む機能は未熟
  • よだれにはメリットがたくさん!
  • よだれかぶれは、皮膚への刺激が原因で起こる炎症
  • よだれかぶれは、「保湿」「刺激からの保護」「清潔」で防ごう!

お口と歯の成長。どうしてよだれがたくさん出るの?

よだれが増える時期

赤ちゃんのよだれは、新生児の頃はそこまで多くないのですが、生後4~5ヵ月の時期に増えると言われています。これは、赤ちゃんの消化機能が整ってきている証拠だと考えられています。また、歯が生え始める準備段階でも、よだれの量はグンと増えます。成長に伴った変化なのです。

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ごっくんと飲み込む練習中

赤ちゃんはお口を閉じて、お口の中に溜まったよだれをごっくんと飲み込む力が未熟です。そのため、お口の外によだれが流れてしまいます。よだれの量も大人よりも多いと言われており、それが口から流れ出るため、より多く感じるのかもしれません。また、量や飲み込む力には個人差がありますので、他の子と比べて多いなど、あまり気にしなくて大丈夫です。


よだれにはこんな役割がある!※1

ついついネガティブに感じてしまうよだれですが、実はとても大切な役割を果たしています。そんなよだれの働きについてご紹介します。

1.消化を助ける
唾液にはデンプンを分解する消化酵素が含まれており、食べ物を柔らかくして消化しやすくしてくれます。
2.飲み込みやすくする
食べ物を柔らかくしてくれて、食道をなめらかに通せるようにしてくれます。
3.食べ物と混ざり味を感じる
唾液と食べ物が混ざることで、舌は味を感じることができます。
4.むし歯になりにくい
唾液は、食べかすを洗い流したり、溶けた歯の表面を修復する働きがあります。※2
5.細菌の侵入をブロックする
お口の中にいる虫歯菌以外の病原菌にも、殺菌したり抵抗する働きがあります。
6.口腔内を清潔にする
常に唾液が分泌されているので、汚れを洗い流してくれる他、潤いを保って口臭も抑えてくれます。
7.がんの原因となる活性酸素を減らす
唾液の物質の一つが、食べ物内のがんの原因となる活性酵素を分解します。
8.老化を抑える
唾液に含まれる成長ホルモンの一つが、筋肉や骨の発達を促進してくれます。

気になるよだれかぶれ

よだれかぶれってなあに?※3

よだれかぶれとは、医学的には「接触皮膚炎」と呼ばれるものの一つです。刺激物質が皮膚に接触することで、かゆみやヒリヒリ感を伴う炎症を起こします※4。よだれは、食べ物を分解するための消化酵素の一つとお伝えしましたが、逆に乾燥している肌のたんぱく質も壊してしまうのです。

赤ちゃんの皮膚は大人の半分くらいの厚さと言われています。さらに、皮脂もほとんど分泌されていないため、肌が守られていない状態です。それだけ刺激に弱く炎症を起こしやすいのです。

よだれかぶれを予防しよう!※3

悪化してかぶれてしまう前に、予防したいですよね。予防のポイントを3つお伝えします。

1.皮膚を良い状態に保ち、バリア機能を保つ!
肌を守る力が未熟な状態なので、こまめに「保湿」をしてあげて、皮膚のバリア機能を保ちましょう。保湿剤のタイプは、お子さまの肌との相性もあるのですが、一般的に湿度が低い季節には、クリームタイプなど油分の多いものをプラスしてあげましょう。
2.刺激を少なく!
赤ちゃんのお肌はとにかく刺激に弱いです。ふき取るときには、ゴシゴシと擦るのではなく、押さえ拭きや、優しくふき取るように心がけましょう。このとき、やわらかいタオルかコットンを湿らせて使用することがおすすめです。
また、食べ物のカスなども刺激になってしまうので、お食事前の保湿も大切です。ローションやクリームなどの保湿剤で潤いを与えてあげることも大切ですし、ワセリンなどで刺激から保護するのも良いと思います。医療用医薬品であるプロペトは純度が高いワセリンのことですが、ワセリンは肌の水分の蒸発を防いでくれる役割を果たし、添付文書上も”皮膚保護剤”という位置づけです。従って、ワセリンだけで潤いを与えることはできませんので覚えておいてくださいね。
3.清潔に保つ!
食べ物のカスもよだれも刺激の原因になりますので、とにかく清潔に保つことが大切です。こまめに優しくよだれをふき取ってあげましょう。お風呂でお顔を洗うときは、たっぷりの泡で優しく洗ってあげましょう。そして、油分も取れてしまうので、その都度保湿もしてあげましょう。

こんな時には受診しよう!

どんなに予防を頑張っても、この時期はどうしても口の周りによだれが接触してしまうので、よだれかぶれとしばらく付き合っていくことも多いです。繰り返したり、なかなか改善が見られない、赤みが強い場合には受診してみましょう。診療科は、小児科、皮膚科、小児皮膚科です。

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時には、保湿だけではお肌のバリア機能を守ることができない場合もあります。また、痒みが強い状態だと赤ちゃんが自分で掻いてしまうので、お薬を使って痒みを抑える必要もあるでしょう。その場合は、塗り薬を処方されると思いますが、塗り方や回数などは必ず医師の指示のもと塗布していきましょう。複数のお薬を処方された場合も、指示通りの順番を守りましょう。早く対処すると、治りもスムーズです。

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いかがでしたでしょうか。よだれかぶれはとても起こりやすい赤ちゃんのトラブルの一つです。いつかはよだれの量が減り、皮膚トラブルも落ち着いてきますので、それまではこまめにケアをしていきたいですね。

気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 「だ液」の神秘とそのパワー, 公益財団法人 8020推進財団, 2022/7/20閲覧,
https://www.8020zaidan.or.jp/pdf/kenko/daeki.pdf

※2 むし歯にならない食べ方~時間を決めて食べましょう~, 赤ちゃん&子育てインフォ, 公益財団法人 母子衛生研究会, 2022/7/20閲覧,
https://www.mcfh.or.jp/jouhou/ha/mushiba.html

※3 佐々木りか子, 赤ちゃんとキッズの肌育&スキンケア, 主婦の友生活シリーズ, 株式会社主婦の友社, 2021,p 10-13,48-49

※4 接触皮膚炎診療ガイドライン2020, 日本皮膚科学会ガイドライン, 2022/7/20閲覧,
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/130_523contact_dermatitis2020.pdf


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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