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【助産師執筆】産後25週(産後6ヵ月)
はみがきっていつから始めるの?

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最近授乳中に今までにない痛みを感じる!やたらと家具などをかじりたがる!などの赤ちゃんの変化はないでしょうか?そろそろ初めての歯が生えてきて、赤ちゃんも慣れないのかもしれませんね。今回は、赤ちゃんの歯のケアについてお伝えしていきたいと思います!

  • 成長に伴い口周りの筋肉がつき、お口の空間が広がる
  • 歯が生える順番は前から後ろだが、個人差がある
  • いつもと様子がちがったら歯が生える前触れ
  • 歯ぐずりは対策をして和らげる
  • 歯が生え始めたらはみがきスタート

口腔内の発達と必要な支援 歯の生える順番も

お口の中の成長※1

赤ちゃんは成長に伴い手と口が協調して動かせるようになり、おしゃぶりやおもちゃをなめて舌で感触などを確かめます。5~6ヵ月になると、腰もすわっておすわりもできるようになるので、お口や喉の筋肉がさらに動かしやすくなります。そして、下顎が発達するので、舌が口の中に収まり、口を閉じやすくなります。ちょうどこの頃が、下の前歯が生えてくる頃でしょう。
今後のお口の中の変化としては、お口の中の空間が広がり舌が使いやすくなったり、奥の歯ぐきに膨らみも出てくるので、食べ物を歯ぐきでつぶせるようになってきます。つまり、離乳食の進みは、歯の生えるスピードに伴うことが多いです。離乳食がなかなか進まないと感じる時は、歯が何本生えているかな?と気にしてみると良いですね。

歯が生えるタイミングと順番※2

先輩ママへのアンケート調査では、乳歯が生えたのは、早いと5ヵ月未満の子もいましたが、6ヵ月未満で生えた子が1番多かったです。中には、1歳以上と答えた方もいました。それだけ、初めての乳歯が生えるタイミングには個人差があります。
乳歯はまず下の真ん中の2本(乳中切歯)から生えはじめます。その次に上の真ん中の2本が生え、基本的には前から奥へと生えていきます。1歳半頃には最初の奥歯(第一乳臼歯)が、2歳頃には前歯と奥歯の間の歯(乳犬歯)、最後に上の奥歯(第二乳臼歯)が2歳半ごろ生えてきます。約2割の子が、歯が生える順番が多少異なると言われており、順番には個人差があるのであまり気にしなくて大丈夫です。ただ、1歳3ヵ月ごろになってもまだ1本目の歯が生えてこないようなら、小児歯科専門医またはかかりつけの歯科医院で相談しましょう。

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歯が生えてきてグズグズ!そんなときはどうする?

歯が生える時期と前触れ※3

乳歯が生えるサインとして、次のような様子がみられます。

こんな様子が見られたら、乳歯が生えてくる頃かも

  • よだれが増えた
  • 手や服などを噛み始めた
  • つばを飛ばすようになった
  • ぐずるようになった
  • 寝つかない、夜起きるようになった

いつもと様子がちがうと思ったら、歯が生える前触れかもしれませんね。

歯ぐずり対策

歯の生えかけはお口の中の不快感も強くなります。赤ちゃんがいつも以上にぐずぐずしてしまうこともあるでしょう。このような状態を「歯ぐずり」などと言ったりします。
対処法についていくつかお伝えします。

●歯固めを使う
歯固めとは、歯を丈夫にするためのおもちゃのことをいいます。歯の生えかけは、噛み応えのあるものを噛みたがる時期です。歯固めの他にも、硬いパンや野菜スティックなども良いですね。細かいパーツのものを飲み込まないように注意しましょう。
●冷やしたお茶やフルーツを与える
こちらは冷やしてお口の中をスッキリさせる方法です。フルーツはのどに詰まらせないように注意してくださいね。冷蔵庫で冷やした歯固めを使うのも、痛みが和らぎやすいです。
●ティースプーンなどの金属の食器
金属の食器も冷たく感じやすいです。ティースプーンの背で、歯茎を撫でてあげると落ち着くかもしれません。
●濡らしたガーゼで歯茎を触る、マッサージする
歯茎をクルクルと優しくマッサージしてあげましょう。
●歯ブラシで軽くブラッシングしてあげる
毛先が柔らかい歯ブラシで少しブラッシングしてあげましょう。ゴム製の歯ブラシも、少し噛むことができるのでおすすめです。

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知っておこう!赤ちゃんの歯のケア

いつから始めればいいの?

初めて乳歯が生え始めたら、歯のケアを始めましょう。とは言っても、最初から歯ブラシでゴシゴシするわけではありません。始めの一歩は、仰向けに寝かせてお顔を触りながらスキンシップをとったり、お口の中を見せてもらったり、清潔な手でお口の中を触ることから始めてみましょう。はみがきという習慣に徐々に慣れていくことが大切です。

歯ブラシの選び方

歯の本数が少ないうちは、ガーゼで拭う方法もあります。最初から歯ブラシを使って、お口の中にブラシが入る感覚に慣れていくのも良いでしょう。5〜6ヵ月の頃は、ママやパパがはみがきをしてあげることがほとんどだと思います。歯2本程度の長さで、毛が柔らかい歯ブラシを選びましょう。
そのうちお子さんが自分で歯を磨きたいという時期もやってきます。その際には、きちんと座ってはみがきをすることをお約束しましょう。万が一、歩きながらはみがきをして転倒すると大きな事故につながる恐れがあります。事故の予防として、長さが短い物、先が曲がるもの、喉の奥まで刺さらないように「ガード」がついているものを選ぶと良いでしょう。

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歯磨き剤はいる?気になるフッ素について

どんな歯磨き剤がいいの?

歯磨き剤の目的は、研磨剤で歯を磨くこととフッ素で歯を強くして虫歯を防ぐことです。しかし、4歳以下では使用した歯磨き剤を飲み込んでしまうことが多く、お口の中の歯磨き剤を洗い流せません。ですので、研磨剤や発泡剤が含まれていない物が乳児に適しており、うがいが不要な泡タイプやジェルタイプが一般的です。うがいが出来るようになったら、ペースト状の物でしっかりとケアしていきましょう。

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また、はみがきデビューのこの時期から、低濃度のフッ化物配合の歯磨き剤の使用が積極的に推奨されています※4。フッ化物は歯を強くし、虫歯菌の働きを抑え、虫歯予防に効果があります。

歯の生え始め~2歳のフッ化物の適切な濃度は、500ppm(泡状歯磨剤であれば1000ppm)とされています。500ppm未満の濃度だと、虫歯予防の効果が認められていないためです※5。フッ化物を意識するなら濃度に注意して選びましょう。

歯磨き剤の安全性は大丈夫?※6,7

歯の形成期に、高濃度のフッ化物を含む飲料水を継続的に飲用すると、歯のエナメル質が白く濁って見える、歯のフッ素症 (斑状歯) が発生することがあります。また、発症のリスクは6歳以下に集中しています。
このことを踏まえ、注意事項として、次の項目が挙げられます。

諸外国では虫歯予防のために水道水に濃度調整されたフッ化物が含まれていますが、日本では含まれていません。ですので、この時期はジェル状(500ppm)・泡状・液体(スプレー式)の物を使用していれば、過度な心配は必要ないでしょう。


いかがでしたでしょうか。赤ちゃんの歯のケアについてお伝えしましたが、ママやパパの歯のケアもとても大切です。ご自身も歯医者さんに定期的に通院しながら、分からないことを相談するのも良いですね。

お家でのケアで気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 井上美津子, 第65回日本小児保健協会学術集会 ミニシンポジウム1 今,求められる子どもの食の支援 口腔機能発達の支援について,小児保健研究, 第77巻 第6号,2018, 604-607
https://www.jschild.med-all.net/Contents/private/cx3child/2018/007706/030/0604-0607.pdf

※2 こどもたちの口と歯の質問箱, 公益社団法人日本小児歯科学会, 2022/8/4閲覧,
https://www.jspd.or.jp/question/2years_old/

※3 先輩ママ1724人に聞きました!赤ちゃんの乳歯、生えたのはいつ?,株式会社赤ちゃん本舗, 2022/8/4閲覧,
https://www.akachan.jp/clife/1903_05.html

※4 日本口腔衛生学会 フッ化物応用委員会, フッ化物配合歯磨剤に関する日本口腔衛生学会の考え方,日本口腔衛生学会, 2022/8/4閲覧,
http://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/statement/file/statement_20180301.pdf

※5 虫歯予防のための異なるフッ化物濃度の歯磨き粉, コクラン, 2022/8/4閲覧,
https://www.cochrane.org/ja/CD007868/ORAL_chong-chi-yu-fang-notamenoyi-naruhutuhua-wu-nong-du-nochi-mo-kifen

※6 日本歯科医師会,フッ化物(3)フッ化物配合歯磨剤, 歯とお口のことなら何でもわかるテーマパーク8020, 2022/8/24閲覧,
https://www.jda.or.jp/park/prevent/index05_12.html

※7 フッ化物配合歯磨剤, 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトe-ヘルスネット, 2022/8/24閲覧,
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-007.html


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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