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【助産師執筆】産後28週(産後7ヵ月)
0歳児からの読み聞かせって?
絵本の選び方やその目的について知っておこう

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絵本の読み聞かせと聞くと、赤ちゃんに”なんとなく良さそう”とイメージできても、実際にはいつから始めたら良いの?どんな効果があるのかな?と、疑問に思うママやパパもいるかと思います。
赤ちゃんの時期は、まだ視覚の発達も未熟です。
もちろん、絵の意味を理解したり字が読めたりする訳ではありません。
ですが、絵本をめくる時のページの動きや人の手をよく見ており、目で追うことが出来ます。
そして、絵本を目で見ることと同時に、耳で大好きなママやパパの声を聞き、その声の調子やトーン、リズムなどを楽しんだりしています。
今回は、赤ちゃんの時期からの読み聞かせにおいて、知っておきたい絵本の選び方やそのねらいについてお話しします。

  • 赤ちゃんの時期から絵本でリラックス効果や睡眠導入を習慣づけよう
  • 発育・発達ごとに、五感を刺激し伸ばせる内容・素材の絵本を選ぼう
  • 絵本をめくる時の指先運動や言葉遊びは、脳の発達を促すことができる
  • 読み聞かせは、親子の大切なスキンシップとコミュニケーションの土台を作る

寝かしつけに絵本が選ばれる理由

赤ちゃんに絵本を読むタイミングは、親子で心地よくできればいつでも構いません。
ですが、就寝前に絵本を読む習慣をつけることで、体内時計が整うメリットがあるのです。
それは、就寝前の入眠儀式として読み聞かせを行うことで、身体も気持ちも眠るスイッチが入りやすくなるからです。
赤ちゃんが寝ない時も、ベッドやお布団の上で絵本を読む習慣を繰り返すことで「これから眠る時間なんだな」と赤ちゃんに自然に促すことができます。
また赤ちゃんは、側で触れ合える距離にいるママやパパの表情もよく見ています。
親子でリラックスした状態で絵本を読むことで気持ちよく安心でき、睡眠の質も上がりますね。

読み聞かせの注意点

ここで、絵本を読みながら寝かしつける際の赤ちゃんの姿勢について気をつけることがあります。
それは、うつぶせ寝はしないで欲しいということです。
絵本を読む時は、座って向き合ったり、後ろから抱っこしながらや、一緒に横になるなど自由なスタイルで良いですが、うつぶせ寝でいるとSIDS(乳幼児突然死症候群)や窒息の恐れがあります※1
寝かしつけで絵本を読む場合には、最終的には必ず赤ちゃんは仰向けの姿勢で寝かせましょう。

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それぞれの発達に合った絵本とは

赤ちゃんの時期の月齢ごとに適した絵本がありますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

●ねんねの時期(新生児〜)

赤ちゃんの視力は、出生後は0.01程度とされており、その後も1歳で0.2、2歳で0.5、3歳半から4歳でようやく0.8〜1.0に到達します。※2
では、聴覚はというと、ママのおなかの中にいた頃から発達が著しいのです。
そのため、この時期から絵本の中で面白く響くオノマトペに興味を持つでしょう。
ちなみに、オノマトペとは、様々な状態や動きなどを音で表現した言葉のことです。※3
擬音語・擬声語・擬態語の総称で、わかりやすく言うと耳で聞いた音源や目で見た物事の様子を文字として表現したものです。
ワンワン、ピーポーピーポー、ニコニコなどといった簡単な言葉で繰り返される内容の絵本は、絵本を初めて読むといったママやパパにとっても、手に取りやすいですね。

●首すわり頃〜寝返りの時期

この頃には、視覚の発達が進み、少しずつ色や形を認識できるようになります。
したがって、赤色や黒色など、はっきりした色彩で構成された絵本がおすすめです。
また個人差もありますが、生後6ヵ月頃には人見知りが出てきます。
この記憶する能力や視力が発達してきたことで、ママやパパ、それ以外の人の顔を区別して認識できるようになるからです。
立派な成長の証ですね。
同じ絵本でも何回も繰り返して読んであげたり、赤ちゃんの反応を見ながら選ぶと良いでしょう。

●おすわり〜ズリバイ〜ハイハイ時期

この時期になれば、自分でどんどん身体を動かすようになります。目で見える世界が広がり、視覚もここで空間認知が発達するとされています。
中から仕掛けが飛び出すなどの絵本は赤ちゃんの好奇心を満たしてくれます。
また、絵本をめくるだけではなく、引っ張れたり、触ると音が鳴る素材や、なめたり噛んだりしても簡単に破れたりしない素材の絵本が良いです。
そうした物を選ぶことで、親子で一緒に安心しながら絵本を楽しむことができます。

●タッチ〜あんよの時期

赤ちゃんは少しずつ単語らしい発語や指差しなどでコミュニケーションを取れるようになってきます。
絵本を通じて、自分で絵本をめくる時の指先運動は脳の発達を促すことや、たくさんの言葉のシャワーを浴びながら五感を刺激されることで、言語や心の発達を促します。
絵本に合わせて歩いたり、ジャンプしたりといった、ストーリーと同じような身体の動きをして、遊ぶことも大変喜ぶでしょう。
そのうち自分で好きな絵本を選んで、読んで欲しいと教えてくれるようにもなってきますよ。

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赤ちゃんの時期からの読み聞かせをお勧めする理由は?

赤ちゃんにとって、ママやパパとスキンシップを取れる時間は、授乳や寝ることと同じように欠かせない成長の源です。
絵本をただ読むだけではなく、お顔をツンツンしてみたり手を握ってみたりと、触れ合うことが大切です。
また最近では、時代の変化とともに、寝かしつけ時や読み聞かせ時に電子メディアを使用する事も増えているでしょう。
電子メディアとは、テレビ、スマートフォン、タブレットなどです。
赤ちゃんは身体が小さい分、スマートフォンやタブレットなどの画面から目までの距離がどうしても近くなったり、光を強く感じやすいです。※4
日本小児科医会では、「メディア漬けの予防は乳幼児から」として、2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控えること、全てのメディア接触は1日2時間までを目安とするなど、5つの提言を推奨しています。※5
読み聞かせは、親子の大切なスキンシップとコミュニケーションの土台を作ります。
止むを得ず電子メディアに頼る場合もあるかと思いますが、うまく取り入れるルールを作ることも大切ですね。


図書館を活用してみませんか?

最後に、皆さんはブックスタート®︎という言葉をご存知でしょうか。
ブックスタート®︎は、0歳児健診などの機会に、絵本をひらく楽しい「体験」と「絵本」をセットでプレゼントする活動で、行政と市民が協働する自治体の事業として全国で行われています。※6
また、赤ちゃんに読み聞かせする絵本をその都度購入していたら大変ですよね。
公共図書館に足を運ぶと、児童コーナーが設置されていたり、地域の子育て支援としてもお話し会が開催されています。
絵本だけではなく、ママやパパに役立つ育児書がありますし、図書館は安心して子連れで通える場所です。

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今回はいかがでしたか?
赤ちゃんの時期からの絵本の読み聞かせについて考えることが、電子メディアとの付き合い方にまで及ぶとは驚きですよね。
赤ちゃんの成長を、段階に応じた絵本と共に歩めることは素晴らしいことです。

他にも気になることがあれば、いつでもXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 乳幼児突然死症候群(SIDS)について,厚生労働省,2022/06/26閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/sids.html

※2 日本小児眼科学会,子どもの眼の疾患に関する医療と学問の発展を目的とする日本小児眼科学会,2022/06/26閲覧,
http://www.japo-web.jp/info.php?page=11

※3 オノマトペとは何?わかりやすく解説,Weblio辞書,2022/06/26閲覧,
https://www.weblio.jp/content/%E3%82%AA%E3%83%8E%E3%83%9E%E3%83%88%E3%83%9A

※4 未就学児の睡眠・情報通信機器使用研究班,未就学児の睡眠指針,愛媛大学医学部附属病院睡眠医療センター2022/06/25閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/content/000375711.pdf

※5 子どもとスマホ・メディア,公益社団法人 日本小児科医会,2022/06/26閲覧,
https://www.jpa-web.org/information/sumaho.html

※6 ブックスタート®︎とは,NPOブックスタート,2022/06/26閲覧,
https://www.bookstart.or.jp/bookstart/


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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