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【助産師執筆】産後30週(産後7ヵ月)
知っておきたい!
離乳食とアレルギーに関するポイント

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これまで母乳やミルク中心だった赤ちゃんの食事。
成長とともに食品からも栄養を摂れるようになると、嬉しい一方で気になるのが食物アレルギーですね。
心配するがゆえに慎重になってなかなか離乳食のステップアップができないというママやパパも多くいます。
少しでも皆さんの家庭の離乳食期のお手伝いができるよう、離乳食とアレルギーに関するポイントについてお話ししていきます。

  • 食物アレルギーは1歳未満の乳児で最も多く発症する 
  • 皮膚症状、消化器症状、呼吸器症状などがある
  • 血液検査・皮膚テストなども参考に!
  • 緊急時対応や環境面を整えることもとても大切

食物アレルギーは1歳未満に多い!?

まずは食物アレルギー(食べ物で起きるアレルギー)について説明します。
食物アレルギーは、ある特定の食物を食べたり触れた後に身体がその食物を異物として認識し、自分を防御するための免疫が働き、アレルギー反応を起こすことをいいます。
離乳食は少量ずつとはいえ、初めて食べる食物が続く時期でもあり、食物アレルギーは1歳未満の乳児で最も多く発症すると言われています。※1
そして、原因となる物質のアレルゲンの多くは、タンパク質です。
乳幼児期は鶏卵、牛乳、小麦、大豆などが多く、学童期以降では甲殻類や果物、そば、魚類、ピーナッツ、最近ではくるみも多いとされています。※2
成長とともに食物アレルギーの原因が変わったり、逆に食べられるようになることもあります。(耐性獲得)※3
ここで忘れてはいけないことは、赤ちゃんが口にする食品のうち、どんなものがアレルギーを引き起こす可能性が高いのかを事前に把握しておくことです。
代表的な鶏卵や牛乳は知っていても、他にどんな食品に気をつけたら良いかをまずは一緒に確認してみましょう。

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アレルギー表示対象の全28品目を知っておこう

特定原材料である、えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生は、必ず食品にアレルギー表示が義務付けられていることを知っていましたか?
その他にも、特定原材料に準ずるものとして、表のように21品目がアレルギー表示が奨励されています。※4

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ママやパパが離乳食を作るために食品を購入する際や、ベビーフードを選ぶ際には必ずアレルギー表示に目を通して確認することが大切です。
また、いくら気をつけて離乳食を準備していたとしても、赤ちゃんにアレルギー反応が起きてしまうこともあります。
そうした場合はとても不安になりますよね。
次は、症状別のポイントをお話しします。


赤ちゃんの食物アレルギー症状別のポイントは?

食物アレルギーの症状は、皮膚、呼吸器、消化器など様々です。
赤ちゃんがアレルギー反応を起こした場合、近くの大人がいち早く気づいて対処することが何より重要になります。
そのため、まずはこの時期の具体的なアレルギー症状と、そのポイントをよく理解しておきましょう。

新生児・乳児消化管アレルギー
ミルクを飲んだあとに注意が必要

主に粉ミルクに含まれる牛乳のタンパク質によって起こるアレルギーで、飲んだ後に、嘔吐、下痢、血便などの消化器症状を起こすことが多いです。
飲んでからすぐ症状が出る場合があるだけでなく、時間が経ってから起きる場合もあり、何が原因かわかりにくいこともあります。
また、嘔吐や下痢は胃腸炎などの感染症の症状とも似ていますよね。
そのため、ママやパパだけでは判断が難しいです。
体重がなかなか増えない、もしくはミルクをあげているのに体重が減る、そして「なんだか様子が変だな」といった感覚も大切です。
このような赤ちゃんの気になる症状があったら、迷わずかかりつけの病院へ受診相談をおすすめします。

即時型症状
食事環境を整えることが大切

即時型症状とは、いわゆる典型的な食物アレルギーであり、原因食物を食べて2時間以内に症状が出現するものを指します。※1
かゆみやじんましんなどの皮膚症状、嘔吐などの消化器症状、持続する咳や苦しそうな呼吸など様々な症状がでます。
これらは、1つだけみられることもあれば、同時に複数の症状があらわれることもあります。
これをアナフィラキシーショックと呼び、意識が低下する緊急事態になる場合もありますので、迷わず救急車を呼んで助けを求めましょう。
離乳食直後に症状があらわれて異変にすぐ気づけることもありますが、その一方で離乳食中は症状がなく、その後のお昼寝中にグズグズ不機嫌になり気づけば目をこすっているなど、そこで初めて気づく場合もあります。
だからこそ、初めての食品をあげる時は万が一に備えてかかりつけ医を受診できる時間帯に設定することが大切です。
また、赤ちゃんの時期は興味があるものをなんでも口に入れてしまう習性があります。
特にごきょうだいがいる場合や、ご親戚やご友人たちと赤ちゃんと一緒に食事を囲む際は、周りの人たちの環境面も含めて赤ちゃんを見てあげる必要があります。
ママやパパがこうした食事環境に気をつけ、安心できる環境を整えることも、赤ちゃんのアレルギーへの対応や予防に繋がる大切な視点ですね。


食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の基本とは

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の湿疹の多くは、顔や頭、胴体、手足に広がっていく傾向があります。
そもそも、アトピー性皮膚炎の定義は、「悪くなったり、良くなったりを繰り返すかゆみのある湿疹を主な症状とする疾患であり、患者さんの多くはアトピーの素因を持つ」とされています。※5
アトピー素因は、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、または複数を自分自身や家族が持っていることや、IgE抗体というアレルギー反応に関与する抗体を産生しやすい体質であるとも言われています。※6


原因や対応など治療方針を確認しよう

原因としては、皮膚のバリア機能が低下することや、食べ物に含まれるアレルゲンに対するアレルギー反応があります。
さらに、皮膚乾燥や汗、ペットやハウスダストなど様々なことも関係しています。
特に、赤ちゃんはおむつかぶれやあせも、よだれかぶれで口周りが赤くなることも珍しくないため見分けがつきにくいですよね。
基本的なお手入れ方法は、保湿や汗をこまめに流すなどのスキンケアで対応します。
ですが、症状がひどい場合には、かかりつけの病院の治療方針を確認した上で治療を受け、症状をコントロールすることをおすすめします。
血液検査をはじめ、実際に食物を食べてみて症状を観察する食物負荷試験の必要性や、ステロイド軟膏の使い方など色々と悩むことがあるかもしれません。
アトピー性皮膚炎の治療で迷う場合は、セカンドオピニオンを求めることも1つの方法です。

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いかがでしたか?赤ちゃんの離乳食とアレルギーについて詳しく知る事で、ママやパパにとっても大切な毎日の食事について改めて考えるきっかけになったのではないでしょうか。

他にも気になることがあれば、いつでもXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 第4章食物アレルギー,平成22年度リウマチ・アレルギー相談員養成研修会テキスト,厚生労働省,2022/06/25閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-08.pdf

※2 令和3年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書,消費庁,2022/07/25閲覧,
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_220601_01.pdf

※3 アレルギーについて 食物アレルギー,アレルギーポータル,2022/06/26閲覧,
https://allergyportal.jp/knowledge/food/

※4 食物アレルギー表示に関する情報,消費者庁,2022/06/27閲覧,
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/

※5 アレルギーについてアトピー性皮膚炎アレルギーポータル,2022/07/25閲覧,
https://allergyportal.jp/knowledge/atopic-dermatitis/

※6 第2章アトピー性皮膚炎(3.学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過),平成22年度リウマチ・アレルギー相談員養成研修会テキスト,厚生労働省,2022/06/27閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-05.pdf


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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