#{title}

【助産師執筆】産後35週(産後8ヵ月)
せっかく作ったのに…
離乳食がうまくいかない時のメッセージ

#{title}

離乳食は毎日のことですから、少しでも楽しい時間にしたいですよね。
ですが、実際にはせっかく栄養バランスを考えて時間をかけて作ったにも関わらず全く食べてくれない時や、沢山の食材を食べてほしいと工夫しながら作っても残されることもあります。
赤ちゃんの離乳食には、本当に様々なお悩みがあります。
今日は、離乳食中期の基本的な考え方と、うまくいかないときの対処法や確認してほしいポイントについてお話しします。

  • 食べることに慣れる+α で栄養素を補っていくことを意識しよう
  • 食べないor食べ過ぎ?作ることが苦手?お悩み別の対処法が大切
  • 足底・姿勢の確認 雰囲気づくりも忘れずに

離乳食中期の基本的な考え方とは?

この時期は、産後32週のコラム『 みんなどうしてる?スプーン・ストロー・コップの練習方法』でもお伝えしたように、もぐもぐ期とも呼ばれています。
生後7~8ヵ月頃の赤ちゃんは、1日2回食となることで生活リズムを整えつつ、食べる習慣に慣れることが大切です。
母乳やミルクがもちろんベースとして大事ですが、それだけでは不足しがちになってくる栄養素を、今後に向けて離乳食から補っていくことを意識しましょう。
さて、ここで改めて離乳食中期における食べる量の確認をしておきましょう。(表1)この量はあくまでも目安です。赤ちゃんの食欲・成長・発達状況に合わせて調整してくださいね。※1

#{title}

この時期は調味料として、出汁・塩・醤油・味噌・砂糖も使用できますが、ほんの少量で良いでしょう。
基本的には、特別な味付けなどは必要なく、食材そのものの味で充分です。※1
そうした意味でも、特に穀物のおかゆ、パンがゆやひたひたにしたトースト、うどんやそう麺のやわらか煮、同じくやわらかく煮てつぶしたジャガイモやさつまいも等は食べやすいですね。
ただしジャガイモには注意点もあり、芽にはソラニンやチャコニンと呼ばれる天然毒素が含まれていますので、選ぶ時はもちろん、新鮮なうちに調理するように気をつけましょう。※2
さて、ここで具体的にうまくいかない時の対処法を一緒に考えていきましょう。


うまくいかない時の対処法

●野菜(特に緑色野菜)を食べてくれない

赤ちゃんは母乳やミルクが大好きなように、本能的に甘味・旨味を好みます。
その他の味覚としては塩味、酸味、苦味があります。
中でも、酸味は腐ったものを、苦味は毒の存在を警告するシグナルであるといわれています。
赤ちゃんの舌にある味蕾(みらい)はとても繊細で味覚を感じやすいという理由から、野菜独特の苦みを敏感に感じて食べてくれないこともあります。
しかし、味覚を育ててあげるためにも、避けずに繰り返しあげることが大切ですね。※3

●口に入れた後に出してしまう(特にお魚などのたんぱく質)

もしかすると、食材の固さや形状が合っていないかもしれません。
この時期は、豆腐のように舌でつぶせる固さが目安です。
そのための調理方法は、やわらかく煮る・すりおろす・細かく刻む等の方法があります。
また、この時期からたんぱく質を進めるにあたって、白身魚やしらすといったものから、鮭や赤身魚のような魚類もあげることができますが、調理の際には、はじめから骨なしを選ぶか、きちんと骨を取り除くことに注意しましょう。
赤ちゃんがお魚を口から出してしまう原因として、くさみが気になっている場合もあります。その時は、少量の塩を振って数分置いた後に、熱湯をかけてから氷水でしめて出汁でゆでる方法もあります。
少しでも手間をかけずに、でもお魚を食べてほしい…!そんなママやパパにとっては、次にお話しするベビーフードも強い味方です。

●つくる・献立を考えることが苦手

乳幼児栄養調査において、離乳食について何かしら困ったことがあると回答したママやパパは74.1%もいたことがわかっています。
中でも、「作るのが負担、大変」と回答した割合は最も高く、33.5%でした。※1
毎日献立を考え、離乳食を作るということは大変ですよね。
手作りの離乳食でも、ベビーフードでも、同じ愛情を注いでいることに変わりありませんし、防災備蓄にもなります。
下記の活用方法もぜひ参考にしてみて下さいね。
また、例えばそれぞれ単体では食べてくれなくても、おかゆと納豆を混ぜたら食べるなど混ぜてみることや、適度なとろみをつけるなどの簡単な工夫で悩みが改善されることもあります。
また、大人の料理の味付け前の段階を取り分けることも時短になって良いですよ。

ベビーフード活用方法

  • 子どもの月齢や固さにあったものを選び、与える前には大人が一口食べて確認を
  • 味付けや固さなど、離乳食を手づくりする際の参考に
  • 用途にあわせて上手に選択を
  • 料理や原材料が偏らないように
  • 開封後の保存に注意し、食べ残しや作りおきは与えない

#{title}

●たくさん食べ過ぎてしまう

離乳食を食べてくれないという悩みがある一方で、食べ過ぎが心配という声もあります。
食べてくれるのは嬉しいですが、欲しがるままあげていいのか悩みますよね。
まず食事の時間をある程度決めておしまいにする方法もあります。
完食した後にも、泣いて欲しがってしまうこともあるかもしれませんが「もうご飯は終わりの時間だよ。たくさん食べてくれてありがとう」など声かけして褒めてあげましょう。
また、ママやパパのあげるペースが速い可能性もあります。
早食いは満腹感が得られにくく、よく噛まず飲み込んでいるかもしれません。
この場合は、あえてゆっくりあげることも大切です。


赤ちゃんの姿勢が意外と大切!

盲点になりがちなのですが、赤ちゃんが離乳食を顎や舌で押しつぶして食べる時に、しっかり力を入れるためにも、足底が床や椅子の補助板についていることがポイントです。
足が宙ぶらりんになっていると、体勢が不安定になって赤ちゃんは落ち着いて座れないからです。この時期の赤ちゃんですと、座らせてもどうしても足が浮いてしまう…といったこともあるでしょう。
その場合は、ダンボール・雑誌・牛乳パックなどで簡易的に作った足台で調整する方法もあります。
また、姿勢が丸まって前に倒れていたり、後ろに傾きすぎていたりしないかも確認しましょう。
胸とおへその間くらいで手を置くことができる高さにテーブルがあると、重心がより安定して理想的です。
そして、せっかく姿勢が良くてもママやパパがスプーンなどであげる角度が真横からだと、赤ちゃんにとっては顔や身体の向きがアンバランスになってしまいます。
正面から赤ちゃんの表情を見ながらあげるよう意識できると良いでしょう。
しかし、こうした椅子や食卓のスタイルは各ご家庭ごとに違いがあると思います。
気負いしすぎず、人手や余裕がある時に、いつもの食事+αでこうしたポイントをママとパパで一緒に確認してみてはいかがでしょうか。

#{title}


いかがでしたか?離乳食期の赤ちゃんとの関わり、いつも本当にお疲れ様です。
ママもパパも充分頑張っています。離乳食をあげることからいったん気持ちを離して、時には一緒に楽しくご飯を食べて食卓を囲むような雰囲気作りもお忘れなく。

他にも気になることがあれば、いつでもXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 授乳・離乳の支援ガイド,厚生労働省,2019年,2022/07/23閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf

※2 ジャガイモによる食中毒を予防するために,農林水産省,2022/07/23閲覧,
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin/potato.html

※3 とけいじ千絵,子どもの味覚を育てる食育,2022/07/30閲覧,
https://www.nyusankin.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/12/Nyusankin_504_b-1.pdf


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

ページの先頭

W/Story 目次一覧へ