#{title}

【助産師執筆】産後36週
うちの子は大丈夫?
ついつい周りと比べてしまう発達について

#{title}

生後9ヵ月の赤ちゃんの成長・発達は、出生体重・栄養方法・赤ちゃんの性格などにより個人差がとても出やすいです。そのため、ママやパパたちは過度な不安や心配する気持ちが強くなる時期になります。不安は赤ちゃんが成長するとともに軽減することもありますが、楽しく育児をするためにも、正しい知識を身につけておきましょう。

  • 9ヵ月の赤ちゃんは発達の変化が著しい時期 
  • 個人差が出てくる時期でもある 
  • 赤ちゃんの成長・発達のチェックは9・10ヵ月健診で確認
  • この時期に周りと比べてしまうのは当たり前!

9ヵ月の赤ちゃんの発達を知ろう

1.からだの発達

赤ちゃんのからだの発達は個人差があり、その子によって大きく異なるため平均値の振り幅も大きくなります。
あくまで平均値ですが、男の子の体重は8.53kg、女の子の体重は8.01kgとなっています。
また、身長の平均は男の子で71.8cm、女の子で70.3cmといわれています。※1
ハイハイなど動けるようになり、ぷくぷくだった赤ちゃんも首のお肉がなくなってきたり、手首がスリムになったりと体型も変化してくる時期となります。
赤ちゃんの身体の発達は、母子健康手帳に載っている項目などでチェックができます。

チェック項目

  • はいはいができる 
  • つかまり立ちができる 
  • 小さなものがつまめる
  • 安定して座り、遊ぶことができる

#{title}

他には、体が倒れそうになった時に手を伸ばして体を支えようとする「パラシュート反射」が出てきます。
からだの発達の変化としてはハイハイをよくするようになりますが、「よつんばい」のハイハイだけでなく、ひじで前に進む「ひじばい」、おしりを高く持ち上げて進む「高ばい」、片足だけ曲げて進む「変わりばい」など、短い期間での体勢の変化が多い時期となります。
そのため、個人差も出やすくなるんですね。

2.ことばの発達

この時期の赤ちゃんは、母語とそれ以外の言葉の違いを認識し始めます。
『9ヵ月革命』という言葉があるくらいに、この時期の言葉の発達は著しいです。
『9ヵ月革命』とは、三項関係(自分と他者と対象物)の区別が始まる、コミュニケーションにおける革命的変化の時を言います。
対象物を介して自分以外の人とコミュニケーションを取ろうとする時期ですので、例えば、大人がバイバイというと、それを真似してバイバイと手を振ることができるようになるといったイメージです。
これは後に人との対話をする基礎となる大切な発達段階となります。※2
9ヵ月は言葉の発達において臨界期(その特性を獲得するための限られた期間)であると聞くと、「うちの子は全然話さない」と不安になる方もいるかもしれません。
ですがこれは今すぐ心配する必要はありません。
厚生労働省の乳幼児身体発育調査報告書によると「ママ」「パパ」などの、最初の一語を話し始める月齢は、9・10ヵ月ごろで10%、1歳ごろで50%、1歳半を過ぎて90%のお子さんが話し始めると報告されています。
今はお話が進まなくても、赤ちゃんは一生懸命インプットしている時期ですので、言葉のシャワーをたくさん浴びせてあげましょう。※3

3.こころの発達

9ヵ月ごろのこころの発達は、ママ・パパを後追いしたり、自分の意思を身振り手振りで表すようになります。具体的なチェック項目では、

チェック項目

  • 機嫌良くひとり遊びができる 
  • 近くでささやくと振り向く 
  • 親のあとを追ったり、親が見えなくなると泣く
  • 人見知りがある
  • 人のものまねをする(手や机を叩く)
  • 親が指さした方向を見る
  • 機嫌の良いとき、親と声を出してやりとりを楽しむ
などがあります。
こころ(精神的)も日々発達しており、ママやパパの声や表情から喜んでいるか、怒っているかなど分かるようになります。
まねごとが増える時期ですので、一緒に手遊びをしたり、歌を歌ったりとコミュニケーションの場を増やしていきましょう。

#{title}


お子さまの発達に疑問を感じたら

赤ちゃんは3〜4ヵ月健診/6〜7ヵ月健診/9〜10ヵ月健診/1歳6ヵ月健診/3歳健診と、乳幼児健康診査を定期的に受けることができます。
ここでは、赤ちゃんの成長発達を確認することができ、地域によって保健センターで実施するところと、小児科を受診するところがあります。
健診では医師の診察があり、健診時に視覚や聴覚などの先天的な病気が見つかる可能性もあります。
お住まいの地域がどのような流れになっているかは、市区町村からのお知らせなどで確認するようにしましょう。
地域の保健センターでおこなう場合は、保健師、栄養士、心理士などの専門家たちが、赤ちゃんの離乳食や食事の進め方、しつけ・育児の問題、事故防止などライフスタイルに関すること、家庭の育児環境や心の問題に関することなど、いろいろな悩みに応えてくれます。
普段このような機会はないと思いますので、聞きたいことはメモなどにまとめておくと良いですね。※4
健診以外でも赤ちゃんについて不安なことがあれば、お住まいの保健センターに電話相談するか、かかりつけ医を受診し小児科医に相談するようにしましょう。
ネットや、友人などからの情報は必ずしも正しいわけではありません。
正確な情報は専門家に相談しましょう。

#{title}


ついつい周りと比べてしまうのは、当たり前

赤ちゃんの成長は、1年を通して目まぐるしく変化していきます。
生後1ヵ月、3〜4ヵ月、7〜9ヵ月では、子育ての段階・環境に違いが出てきます。
特に児童館に行ったり、外出する機会の増える9ヵ月ごろは、どうしても自分の子と周りの子とを比べてしまう傾向にあります。
また、以前は手厚くサポートしていた周囲の人も“ここまで来たら大丈夫”と、支援の輪が緩み、少し離れていく時期とも重なります。
上記でもお伝えした通り、9ヵ月の成長・発達は個人差が大きくなる時期です。
発達が遅いことは、その子の個性かもしれませんが、あまりに不安になってしまうと育児を楽しむことが難しくなり、場合によってはママやパパの鬱に繋がることもあります。※5
悩みが大きくなる前に、保健センターなどの行政の取り組みも活用できるようにしていきましょう。
また、現代では調べればすぐに情報が手に入りますが、残念ながら間違った内容もあります。正しい情報を選択し、専門家に頼ってみてくださいね。
できないことに目を向けるのではなく、できていること、成長したところを探すのもおすすめです。

命を育てることは、責任が重く不安になることも多いと思います。定期的な健診を活用して赤ちゃんの成長・発達を確認していきましょう。
もし健診結果が再検査となっても9〜10ヵ月頃の赤ちゃんは個人差があるため、あまり心配しすぎないようにしましょう。


気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書(概要), 厚生労働省,2010,
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001tmct-att/2r9852000001tmea.pdf

※2 麻生 良太・花坂歩,乳幼児期に求められる「言葉」の教育―幼稚園での教育実践を視野に―,大分大学教育学部研究紀要 第 41 巻第 2 号,2020

※3 知りたい! ことばの育て方,NHKすくすく子育て情報,2016,2022/7/25閲覧,
https://www.nhk.or.jp/sukusuku/p2016/671.html

※4 健診の受け方―解説―,東京都福祉保健局 東京都こども医療ガイド,2022/7/25閲覧,
https://www.guide.metro.tokyo.lg.jp/vaccination/kenshin/index.html

※5 「もしかしたら“産後うつ”かも…?」子育て期を上手に乗り切るために大切なこととは,東洋大学,2022/7/25閲覧,
https://www.toyo.ac.jp/link-toyo/life/postpartum_depression/


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

ページの先頭

W/Story 目次一覧へ