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【助産師執筆】産後45週(産後11ヵ月)
もしもの災害に備える、子どもと家族を守る防災対策

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こんにちは。みなさんは「災害」と聞くとどのような被害をイメージしますか?
台風、豪雨豪雪、地震、津波、噴火などの自然現象、大規模な火災、事故…。このような災害を未然に防止し、災害が発生した場合の被害の拡大を防ぎ、災害復旧を図ることを「防災」と言います。※1
みなさんのおうちでは、防災対策はどれくらいできているでしょうか?
例えば、お子さまの寝かしつけを終えてリビングに戻って一息ついたところに大きな揺れを感じました。家具家電が大きく揺れ、固定されていなかった棚が倒れたり、食器や小物が落ちてきたり…お子さまが寝ている部屋に急いで駆けつけるという方もおられると思います。
いつ起こるか予測が難しいからこそ、このように具体的にイメージをして、いつ起きても被害が最小限にとどめられるよう備えておくことは大切です。今回は私たち助産師の被災経験も踏まえながら、家族を守る防災対策について考えていきましょう。

  • 具体的なイメージやシミュレーションは大切
  • まず優先するのは寝室の防災対策から
  • 防災グッズが準備できたら定期点検も忘れずに
  • 避難経路を決めておこう
  • 家族で防災訓練を体験してみよう

おうちの防災対策※2

お住まいの地域で想定される災害を具体的にイメージして、家族でシミュレーションしておくことは重要です。このように災害による被害をできるだけ小さくする取り組みを「減災」と言います。

おうちの中にも危険がある?

耐震や免震の家屋であっても安全とは限りません。今いるお部屋を見渡してみて、背の高い家具、重たい家電の転倒・転落の防止対策は十分にできているでしょうか?
全てのお部屋の対策がすぐにできなければ、寝室を最優先に対策します。就寝時に大きな地震に見舞われた場合、家具の下敷きになる危険があるためです。お子さまや家族が寝ている布団やベッドの周りの家具の配置を見直したり、固定器具を活用したり、減災対策を行っておきましょう。

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役立つ防災グッズ※3,※4

おうちの中の「非常備蓄品」と避難時に持ち出す「避難用品」は、分けて考えることが大切です。赤ちゃんのための防災グッズ特集も参考にしてみてくださいね。そして、定期点検を忘れずに行うこと、日持ちする離乳食を食べ慣れておくことも重要です。

  • 非常備蓄品:3日程度の生活ができるもの
  • 避難用品:リュックに詰めて持ち出し準備をしておく、身の回りになければ困るもの

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非常備蓄品
家族が過ごせる3日分を目安に、飲料水や非常食を準備します。災害時には電気・水道・ガスなどのライフラインが途切れることが考えられます。オール電化の住居も増えていますが、カセットコンロやろうそくの予備は非常時に便利です。
避難用品
普段から持ち歩いて欲しい3点セット
  • 母子健康手帳
  • 身分証明書(マイナンバーカード・保険証・運転免許証など身分証のコピー)
  • 家族の連絡先が記載されたメモ
身の回りになければ困るものリストの例
  • スニーカー、厚手の手袋・靴下、帽子(避難時に手足や頭を守る)
  • 水(調乳用も含む)
  • すぐ食べられる非常食(温めのいらない離乳食・大人は乾パンなど)
  • 粉ミルクや液体ミルク、ほ乳びん
  • ウエットテッシュ
  • マスク
  • 歯磨きシート
  • ブランケット・レインコート(着替え・授乳ケープ・防寒具にもなる)
  • ガーゼハンカチ・手ぬぐい(タオルより洗いやすく乾きやすい)
  • 着替え
  • おむつ・おしりふき・防臭袋
  • 生理用品・母乳パッド(着替えができない場合に便利)
  • ランタン・懐中電灯・ヘッドライト(両手が使えるものがおすすめ)
  • 手回し充電式ラジオ(停電時でも情報を得る手段になる)
  • 家族分の常備薬、薬の処方箋のコピーや予備のメガネ(持病のある人)
  • 保護者・子どもの名前やアレルギー情報などを書いたメモ
  • メモ用紙・筆記用具
  • 現金(10円玉や100円玉など小銭もあると公衆電話が使える)
  • スマートフォンの充電器(バッテリータイプ)
  • お気に入りのおもちゃや絵本(電池が不要なもの)
助産師がおすすめ!あると便利なベスト3
・抱っこ紐
普段から自宅で抱っこ紐を使った抱っこやおんぶの練習をしてみるのもおすすめです。日常使いのものの他に、かさばらない形の予備のものを入れておくと安心です。昔ながらの兵児帯・さらしタイプはコンパクトに持ち歩けますし、浴衣の腰紐などでも代用できます。
・大判の風呂敷
赤ちゃんの物品をひとまとめにする必要がある時や、敷き物としても使えます。最近では防水のものがありおむつ交換にも便利です。
・防災ボトル
最低限の細々した非常時の物品を収納でき、中身を出すとボトル自体も使えます。

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身の守り方をイメージしよう※4~7

知っていてほしい!災害時の情報収集

災害時の情報収集には手回し充電式ラジオは便利です。スマートフォンも便利ですが、充電が切れてしまう恐れがあります。節電モードの設定方法を覚えておきましょう。
また、事前に民放ラジオ放送やニュース・防災アプリをダウンロードしておくと省エネになります。電気が止まっている被災地では、情報の検索や県外からの親族・知人からの連絡であっという間に電池が消費されてしまうので、バッテリータイプの充電器があると安心です。

家族との連絡手段は?

もしも家族がバラバラの場所にいる時に災害が起こった場合はどうでしょうか。事前に安全な合流場所を決めておくことが大切です。
そして災害時は、通信回線が混線してしまいメールやチャットでの連絡、電話が繋がらないことがよくあります。公衆電話の方が繋がりやすい場合があるので、公衆電話の使用方法と最寄りの設置場所を確認しておきましょう。

災害用伝言ダイヤル(171)※8

震度6弱以上の地震や噴火などの災害発生から約30分で、誰でも伝言登録が利用できるようになるツールがあります。災害時以外にも体験利用日があるので、いざという時に備えて、家族・親族で試してみるのも一つです。


家族で防災訓練

防災さんぽ?

自宅や家族の勤務先、お子さまが通う保育園の最寄りの避難所をご存じですか?各市町村に「ハザードマップ」「防災マップ」が作成されており、自治体によっては配布されたり、ホームページからダウンロードができたりします。
平常時に家族で避難経路を散歩して、避難所や給水所を確認しておくこともおすすめです。

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キャンプも訓練?!※9

避難所になる体育館や公民館などは、想像以上に温度管理が難しかったり、音が響き周囲が気になったり、床が硬かったりと非日常的な空間です。お子さまと一緒に野外炊飯やキャンプに慣れておくことも心身の備えになります。ダンゴムシのように体を丸くする、身を守るポーズも遊びながら練習しておきましょう。


大切な家族の安全のために、日頃から具体的に災害時をイメージし準備しておくことは大切ですね。助産師は看護師資格も持ち、防災や災害看護の知識があるので、平常時には防災についてもXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。(緊急時には回答できないことがあります。)みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 災害対策基本法,防災情報のページ,内閣府,2022/05/16閲覧
https://www.bousai.go.jp/taisaku/kihonhou/index.html

※2 減災のてびき(減災啓発ツール),防災情報のページ,内閣府,2022/05/16閲覧
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/keigen/gensai/tebiki.html

※3 赤ちゃんのための防災グッズ特集,アカチャンホンポOnlineshop,2023/1/24閲覧,
https://shop.akachan.jp/shop/r/rbousai

※4 妊産婦・乳幼児を守る災害対策ガイドライン,東京都福祉保健局,2016,
http://square.umin.ac.jp/bonyuu/info/saigai_tokyo_kaitei2014.pdf

※5 減災カレンダー 助産師版,日本助産学会災害対策委員会,2021,
https://www.jyosan.jp/huge/gensai_210228.pdf

※6 あかちゃんとママを守る防災ノート, 特定非営利活動法人 MAMA-PLUG,2022/03/31閲覧,
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/hinanzyokakuho/wg_situ/pdf/dai3kaisankou4.pdf

※7 災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~,首相官邸,2022/03/31閲覧,
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html

※8 災害用伝言ダイヤル(171),NTT西日本,2022/05/16閲覧,
https://www.ntt-west.co.jp/dengon/

※9 ママプラグ,災害時に役立つサバイバル術を楽しく学ぶ 防災ピクニックが子どもを守る!,KADOKAWA/メディアファクトリー,2014


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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