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【助産師執筆】産後52週(産後12ヵ月)
最後に助産師が伝えたい、
一緒に頑張ってきたあなたへのメッセージ

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お子さんがお誕生日を迎えられたみなさま、お誕生日おめでとうございます!
そしてこれまでの1年間、毎日ご自身の生活と子育てを両立されてきたこと、本当にお疲れさまでした。ご自身の命と小さな命の両方をここまで守ってこられたみなさんに、尊敬の念しかありません。
ご妊娠してから今日までの約2年間、子育てやパートナーとの関係に関する情報を「発信」するという形で、私たちも子育てに携われたことを、助産師として大変嬉しく思います。最初のテーマは「妊婦健診について」でしたね。今ではもう懐かしいかもしれませんが、ぜひお子さんの1歳のお誕生日をきっかけにご妊娠が分かったあの日から今日までを振り返ってみてはいかがでしょうか。
さて84週間発信してきたジャーナルも今回でおしまい。ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

  • 「~ねばならない」を整理することが大切
  • パートナーとの時間は計画的に
  • ご褒美カードで自分を満たす
  • それでも困った時の相談先を知ろう

今こそ大切なマインドセット

赤ちゃんが生まれてから忙しい毎日。なかなか自分のことや、お子さんとの関係を振り返る時間は取りづらいですよね。でも、節目ごとにご自身の子育てを振り返ってみることはとても重要です。お時間が許せば、以下を参考に振り返りをしてみてくださいね。もちろんパートナーと一緒でもお一人でもどちらでもかまいません。

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STEP1:あなたは今どんな状況で子育てをしていますか?
まずは、今ご自身がどんな状況で子育てしているかを客観的に整理してみましょう。基本的な項目はこちらですが、ご自身の状況に応じて追加してくださいね。

例えば…

  • お子さんは何人いますか?それぞれ何歳ですか?
  • どんなメンバーで育てていますか?
  • 家事や育児の分担はどうなっていますか?
  • 近くに頼れる人はいますか?
  • (もしお仕事をされていたら)通勤時間や勤務時間はどうですか?
STEP2:子育てにおいて「〜ねばならない」と思っていることは?
自分の子育て環境を整理できましたか?次は、そんなみなさんの子育てにおいて「〜ねばならない」と思っていることと理由を書き出しましょう。

例えば…

  • お昼寝は最低2時間させなければいけない。なぜなら午後機嫌がわるくなるから。
  • 3歳までは母乳をあげなければいけない。なぜなら愛着形成に影響があると聞いたから。
  • 掃除機は毎日かけなければいけない。なぜならほこりは赤ちゃんの体に悪いから。
  • 寝かしつけは私がしなければいけない。なぜなら寝つきが早いから。
などです。みなさんの「~ねばならない」はいかがでしょうか?

STEP3:そもそも子育てにおいて大切にしたいと思っていたことは?
子育ても1年経つと、考え方も変わってきますよね。当初、どのように子育てをしたいと思っていたかも振り返りながら、今現在子育てにおいてどんなこと大切にしたいか、家族にとって優先したいことは何なのかを書き出してみましょう。

例えば…

  • 家族が笑っていること。
  • 子どもがしたいと思うことをさせられること。
  • いつも食卓を一緒に囲むこと。
STEP4:「~ねばならない」を整理しよう
最後の質問です。ここまでくれば、ご自身がどんな状況で子育てをしていて、その中でどんなことを大切にしたいと思っているかがまとまってきましたね。
では最後に、ご自身の大切にしたいことと、日々子育てに関して「~ねばならない」と思っていることが一致しているかを確認しましょう。
もちろん一致していることであれば、それは大切にしたいことを大切にできている証です。ぜひ引き続き、その価値観や考えを大事にしていただければと思います。
一方、「あれ?」と感じた方もいるかもしれません。例えば、笑顔で食卓をかこむことを大切に考えていたのに、いつの間にか食事を食べさせることに一生懸命になりすぎている。家族の30分の団欒タイムは大切にしたかったのに、時間が取れないまま寝かしつけに時間を費やしている。
子育ては楽しいことばかりではないからこそ、いつのまにかそんな風に目の前のことに追われてしまっているかもしれません。そんな自分も愛しく感じながら、手放せる「〜ねばならない」がないか整理してみましょう。

最近パートナーと会話、できていますか?

2つ目にお伝えしたいことはパートナーシップです。みなさんは、最近パートナーと“会話”できていますか?会話という意味を調べると「向かい合って話し合うこと」と出てきます。
いつのまにか共通の話題が子どもの話だけになっている、日々忙しい中でなかなか面と向かって話せていない。そんなママやパパもいるのではないでしょうか?子どもはいつか巣立ちますが、パートナーはこの先も生涯一緒に過ごすかもしれません。だからこそ、互いのコミュニケーションについて今一度考えてみましょう。

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チェック!

  • 15分以上顔を合わせて会話していない
  • 子どもの話以外の話題がない
  • 互いの肌を触れ合うことがない(腕をくむ、ハグをするなどのスキンシップ)

単身赴任など特別な事情がなく、1週間のうち3日以上、上記全てにチェックがつく場合は、少し関係性に注意が必要かもしれません。相手の話を聞く、気持ちのシェアをする、1日1つは子どもに関すること以外の話題をふってみるなど、できることからトライしてみましょう。
助産師として多くの家族と対話をしますが、その中で上手く関係性を築いているなと思ったエピソードをいくつか紹介します。

●LINEなどのチャットツールでふたりだけのグループを作る
いきなり話題を探してもなかなか見つからないもの。「ここ行きたい(URLつき)」「ソファー買い替えたい」「今度友達と遊びに行くことを共有」など、話したいなと思ったことを雑多に2人だけのチャットグループになげるそうです。2人で話す時間ができたら、このテキストがそのまま議題に。話題に困りませんし、忘れずに共有したいことを共有できます。
●毎日21時は会話タイム
毎日30分は会話をする時間として決めているそうです。このご夫婦は21時からスタートと決めていて、そのために寝かしつけや食器洗いなどの家事育児を分担してこなしています。日常の中でしっかりと会話タイムを決めておくことで、会話のタネとなることを探すようになり、今では互いに今日の21時からは何しようと考えるそうです。
●ぬいぐるみでこころのバロメーターを共有
リビングにある、2つのぬいぐるみ。家事や育児、お仕事で疲れたな、今日は特別労って欲しいなという時や体調不良のときには、ご自身のぬいぐるみをこてんっと倒しておくようです。言葉でしんどいと伝えると、「こっちもしんどいよ!」となるところ、かわいいぬいぐるみがこてんと倒れていると自然と相手を労わる気持ちになるようです。お互いのメンタルケアにもつながるいい作戦ですね。

なかなか関係性を再構築することは難しいですが、パートナーシップは一朝一夕でどうにかなるものでもありません。長い目でみて、ひとつひとつ調整し、互いにとって最適な関係性に近づくことを祈っています。


ご褒美カードでご自身のご機嫌を満たしてあげよう

とはいえ、なかなか他人に甘えられない!そんな方も中にはいるかもしれません。ご自身の不調やイライラを感じた時、ご自身の機嫌をご自身でとれるってとても強いことです。
そのための1つの方法として、ご褒美カードをもっておくということが挙げられます。

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ご褒美カードとは
ご褒美カードとは、ご自身の心が満たされていない、疲れたなというときに召喚するあなたのためのカードです。作り方は簡単!カードの裏にご自身のご褒美になるアクションを書いて、集めておくだけです。
ご褒美カードをつくるポイント
ご褒美カードの内容は、「韓国ドラマを15分みる」、「大好きな高級アイスをたべる」、「すべてを放棄して1時間早くお布団に入る」などなんでもOK。しかし、少しだけポイントがあるので紹介します。

ご褒美カードをつくるときは…

  • 手軽にできるもの
  • 何かを買ってもらうなど、他人に依存しないもの
  • 小さく分ける、または区切る(1時間の映画ではなく、その映画を15分観るなど)
  • 毎日できることから少し特別なことまでレパートリーを作っておく
  • わくわくすること、ときめくことにする
ご褒美カードを使う時のポイント
ご褒美カードの使い方にも少しポイントがあります。

ご褒美カードを使うときは…

  • このカードを使ったら自分はご機嫌と言い聞かせる
  • ご褒美カード中は堪能する
  • 声を荒げてしまったらご褒美カードを使うなど召喚タイミングを決める
  • ご褒美カードは追加・再利用可能

またご褒美カードを家族など身近な人とシェアするのもおすすめです。ご褒美カードの制作をよくおすすめするのですが、自分に厳しい人ほどなかなか思い浮かばず作れない…という傾向があります。
どんな方も最低5枚は持っておいてほしいですし、たくさん増えればその分ご機嫌マスターになれますので、ぜひご友人などに話してみて、周りの人のご褒美カードも参考にしてみてくださいね。


いかがでしたでしょうか?今日はこれからも子育てが続いていくみなさんに私たちからお伝えしたいことを3つにまとめてお伝えさせていただきました。
84回配信してきた「W/Story(ウィズストーリー)」もこれが最後。でも私たち助産師はいつもみなさんのそばにいます。気になることはいつでもXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問くださいね。
また、「#ミッドワイフコール」以外にも、1歳をすぎても頼れる先はたくさんあります。例えば、お近くの保健センターの保健師さんはこれからも継続的なサポーターですし、入園が決まれば保育園や幼稚園の先生もよき相談相手になるでしょう。
他にも、かかりつけの小児科にはお子さんの健康や発達の相談ができますし、近くの助産院では卒乳の相談や、1歳以降の子育ての相談もできます。ぜひ調べてみてくださいね。

これからもみなさんの子育てがより豊かで、笑顔溢れる瞬間で満たされることを心から願っています。

記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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