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【助産師執筆】妊娠10週
流産・死産が不安なあなたに読んでほしい
大切ないのちのお話

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妊娠10週に入りましたね。ママの身体の変化と赤ちゃんの様子を見てみましょう。赤ちゃんも少しずつ大きくなってきましたね。超音波検査では先週よりも手や足などの身体の部位がはっきり見えるようになってきました。元気に手足を動かす赤ちゃんもいます。可愛い姿が見られるといいですね。
ママの子宮はオレンジくらいの大きさになってきます。なんとなく足の付け根に違和感を感じる方もいらっしゃいます。

今回は流産や死産についてのお話です。心配になってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、困った症状が出た時、すぐに病院に行けるようあらかじめ知識を持っていることはとても大切です。是非読んでみてください。

  • 流産と死産は週数で分けられる
  • 流産には、稽留流産、進行流産、完全流産がある
  • 受診のタイミングを覚えておこう
  • 感情の波とのつきあおう
  • サポート団体やカウンセリングは心のお守り

流産、死産って何?※1

●流産

妊娠22週より前に赤ちゃんがおなかの中で亡くなってしまったり、おなかの外に出てきて亡くなってしまう状態のことをいいます。切迫流産とは、流産になる可能性がありますが、超音波検査では子宮の中に赤ちゃんがいて、妊娠継続が可能な状態のことをいいます。この時期に有効な薬はないので、安静に過ごす事がとても大切です。

●死産

妊娠22週以降に赤ちゃんが何らかの理由でおなかの中で亡くなってしまったり、おなかの外に出てきて亡くなってしまう状態のことを言います。


流産の種類※2,3,4

流産には大きく分けて3つの種類があります。

1.稽留流産
赤ちゃんがおなかの中で亡くなっている状態。ママは出血や腹痛などの自覚症状がありません。そのため、医療機関で受診した際にはじめて確認されます。
2.進行流産
赤ちゃんがおなかの外に出始めている状態。出血や強い腹痛などの症状があります。
3.完全流産
赤ちゃんがおなかの外に出てしまった状態。出血や腹痛などの症状があります。

稽留流産、進行流産、完全流産の違いの図解


流産、死産ってどうして起こるの?

流産の多くは赤ちゃんの染色体異常によるものであり、ママに原因はありません。しかし、流産するとどうしても、無理をしたから…食べちゃいけないものを食べたから…妊娠に気付かず、薬やアルコールを摂取したから…と考えてしまいますが、ご自身を責める必要はありません。

死産には様々な原因がありますが、常位胎盤早期剝離や胎児の形態異常の場合が多くみられます。
常位胎盤早期剝離とは、通常、赤ちゃんに栄養や酸素を送る大切な役割がある胎盤は赤ちゃんが産まれてから子宮から剥がれるのですが、何らかの理由で赤ちゃんが産まれる前に胎盤が剥がれてしまう病気です。
流産や死産は医学が発達した現代でも避けられないことの一つです。


受診が必要な症状※4

早期発見はとても大切なことです。週数を問わず、妊娠中の出血や腹痛は心配なサインです。
出血に関しては少量でも注意が必要な場合もあるので、トイレの時などに気付いたら少量でも病院に連絡しましょう。
腹痛に関しても同じです。妊娠中は便秘症になりやすく、腹痛の原因が便秘だったら恥ずかしい…と我慢してしまう方もいらっしゃいます。
しかし、特に妊娠初期は、自分では腹痛の原因の区別が難しいので病院に連絡してみてもらうことをお勧めします。


流産・死産後の過ごし方

流産・死産後は、出血や腹痛が続くケースが多くあります。ホルモンバランスの変化もあり、想像以上に身体や心には負担がかかっています。もう赤ちゃんはいないから…と無理をしてなるべく早い時期に職場復帰を考える方もいますが、無理は禁物です。
また、思いがけず赤ちゃんと過ごす時間が短くなってしまう現実に直面すると気持ちも大きく揺れ動きます。感情の波に襲われて自分の気持ちをコントロールすることが難しい時があるかもしれません。
そんな時は無理にコントロールしようとせず、周りの人に頼りながら過ごしましょう。あなたの周りには頼れる人はたくさんいます。


気持ちは男女で違うことも

女性は自分の気持ちを誰かに話すことで整理できたり、ストレスを軽減する一方で、男性は内面に抱え込むことで、乗り越えようとする傾向にあります。
また、女性を支えるためにしっかりしようと考える人も多いです。そのため、女性がお空に帰った赤ちゃんの話をパートナーにすると、その話題を避けようとしたり、「もう次に進もう」といった言葉が返ってくることがあるかもしれません。
女性からすると大切な赤ちゃんの事を忘れられたような感覚になり、パートナーからの言葉に傷つくことがあるかもしれません。しかし、それは男女で考え方が異なるからこその発言です。
お互いに異なる考え方があることを知り、すれ違いを少なくする事で、良いパートナーシップが築けるといいですね※5


辛い気持ちは1人で抱えなくて大丈夫

家族からのサポートはとても心強いですが、その他にもサポートしてくれる人がいます。
それは病院の医師や助産師、地域の保健師、心理カウンセラーやその他専門家のカウンセリングや自助グループです。
病院は身体の不調はもちろん、心の不調に関しても相談にのってもらえます。専門家からのカウンセリングでは心の整理ができたり、自分の気持ちとの向き合い方なども専門的な立場からアドバイスをもらえます。
自助グループは同じ経験をした方と経験やその時の気持ち、今の気持ちを共有することで自分の経験を客観的に考えられたり、整理できたりします。
実際には、上記で紹介した専門家や自助グループを使わなくても、相談できる場所があると知っておくだけで安心感があると話される方が多いです。ぜひ知識として持っていてくださいね。


いかがでしたか?流産や死産について知る事は小さな命を守り、育てることに繋がります。心配な症状がある時は無理せず、早めに医療機関へ相談することが大切です。
そして、思いがけず赤ちゃんと過ごす時間が短くなってしまった方は1人で抱え込まず、家族や専門家、自助グループの存在を思い出してくださいね。

また、気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 統計情報主な用語等の解説,厚生労働省,2022/3/25閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/toukei/goriyou/

※2 株式会社ベビーカレンダー,あんしん、やさしい最新妊娠・出産オールガイド, 新星出版社,2021

※3 中村公則,最新改訂版らくらくあんしん妊娠・出産,株式会社学研プラス,2021

※4 流産・切迫流産,公益社団法人日本産婦人科学会,2022/3/25閲覧,
https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=4

※5 ハイリスク妊産褥婦・新生児へのケア,日本看護協会出版会,2013


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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