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【助産師執筆】妊娠13週
聞きにくいけれど、大切なこと。
妊娠中の性生活事情を掘り下げ!


妊娠13週に入りましたね。この時期の妊婦さんは子宮の大きさがグレープフルーツぐらいに成長し、おなかのふくらみも目立つようになります。他にも、胸が大きくなったり、乳頭や陰部の色素が黒っぽくなりはじめたり、からだの変化に戸惑う方もいるかもしれませんね。
赤ちゃんの様子としては、手足などの体の各器官がほとんど完成して見た目はすっかり人間らしい姿になります。腎臓では尿が作られ、赤ちゃんは羊水の中でおしっこをし始めます。
早い人ではつわりが落ち着き、安定する一方で気になることも増えてくる時期です。その中でも今日は聞きにくいけれど大切な性生活についてお伝えします。

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  • 妊娠経過に異常がなければ、性生活をしても基本的にはOK
  • 一番大切なのはお母さんの心と体。最優先に考えよう
  • 妊娠期にはいくつかの性生活の注意点がある
  • 性生活以外のコミュニケーションも取り入れましょう
  • よりよいパートナーシップを築くために

妊娠初期の性生活について

夫婦のコミュニケーションにおいて性生活は大切な触れ合いの一つです。
しかし、妊娠期間中は赤ちゃんへの影響を心配するあまり性生活ができなくなったり、ホルモンの変化で性欲が妊娠前と変わる人もいます。正しい情報を知り不安を少しでも解消できるようにしていきましょう。
今回のお話で正しい情報を知っていただき、パートナーとの関係性に対する不安を、少しずつ軽減していきましょう。

妊娠中の性生活は医師から安静の指示がなければ、基本的には問題はないと言われています。
しかし、妊娠初期はつわりで体調が優れないことが多く、日常生活もままならないものです。おなかの赤ちゃんを守ろうとホルモンバランスも変わり、触れてほしくない人も出てきます。
妊娠中の性生活の頻度については 78%の夫婦が減ったと答える例も出ており、妊娠初期は控える夫婦も多いです。※1
性生活中でもおなかが張る、痛みを感じるなどの症状があれば無理せず、しばらく休んで様子をみましょう。※2

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妊娠中の性生活って胎児に影響する?

妊娠初期の性生活で心配になるのが流産の可能性についてですが、性生活は直接的な原因にはならないと言われています。妊娠初期の流産は染色体異常や遺伝子異常などの胎児側の理由によるものがほとんどです。妊娠の経過が順調で、お母さんの体調がよければ性生活をしても問題はありません。※3
ですが、妊娠初期に性生活をしてそれが流産の原因になったと思い悩み、自分やパートナーを責めたり心理的負担に繋がるケースもあります。お母さんが不安に思うようであれば、無理はせずにパートナーに相談しましょう。性生活は愛情表現の一つとして大切ですが、違う方法でスキンシップを取るのがおすすめです。
また、膣内にペニスを挿入しても大丈夫なのか。と不安になる方もいます。ペニスが子宮の入口の外側に接触することはあっても、子宮の入口は頚管粘液の栓で閉ざされています。そして赤ちゃんは子宮の入口の更に奥で羊水に守られているので、妊娠中の性生活が赤ちゃんに直接影響を与えることはありません。


妊娠中の性生活の注意点

妊娠中に性感染症にかかると、生まれてくる赤ちゃんに移り、合併症を招く可能性があります。日本周産期・新生児医学会が出している【赤ちゃんとお母さんの感染予防対策5ヶ条】にも、「妊娠中の性生活ではコンドームを着用し、オーラルセックスは避けましょう。」※4との記載があります。
妊娠経過が安定していればSEX自体は問題ありませんが、妊娠中は抵抗力も下がり細菌感染が起きやすいです。精液中には子宮を収縮させるホルモンや炎症を引き起こす物質があり、早産の原因にもなり得ます。他にも、精子は頚管粘液を通過し子宮内感染を助長する作用がありますので、膣内射精は避けてコンドームを使用し、清潔に気をつけましょう。
また、乳頭を刺激すると子宮を収縮させるホルモンの分泌を促し、張りを引き起こす原因となります。陣痛を引き起こす程ではないと言われていますが、乳頭の刺激をむやみにするのは控えるようにしましょう。
そのほかにも、長時間の行為は避ける、おなかを圧迫しない体位を工夫するなど、お母さんの体を最優先にして無理のないように行い、すぐに休める環境づくりも大切です。※5妊娠に伴うホルモンバランスの乱れによって、挿入時に違和感や痛みを感じる方もいるかもしれません。その場合も無理はせず、お互いが望めば、潤滑剤を使うなどの選択肢もありますね。

注意点まとめ

  • コンドームの使用
  • 無理のない体位で行う(おなかを圧迫しない)
  • 過度な乳頭の刺激は避ける
  • オーラルセックスは避ける
  • 長時間の行為は避ける
  • 深い挿入は避ける
  • 切迫徴候や切迫のリスク因子がある場合は医師の指示をうける※5

切迫早産のサインについて、以下の動画1:43ごろで説明しています。参考にしてみてくださいね。



妊娠中の性生活のメリット

妊娠中にSEXをすることのメリットもいくつかあります。 妊娠期間中はホルモンの乱れや、自分の見た目の変化、希望と不安が入り混ざるなど、お母さんの情緒は大きく変化する時期になります。 このような時期にパートナーとの繋がりを持つことで心が安定しやすくなります。性生活をすることは「愛情表現」「心の結びつきを強めるもの」「夫とのコミュニケーション」に繋がります。※1 妊娠する前よりもパートナーの気遣いをより感じる方もいます。性生活だけではありませんがスキンシップを通して妊娠中も良好なパートナーシップを築いていきましょう。

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妊娠期には性欲が増す人、逆に減退する人も出てきます。またこの妊娠期の性欲の変化はお父さんにもみられ、お母さんと同じく悩んでいる方もいるようです。妊娠前よりも丁寧にコミュニケーションをとり、相手の希望や不安、悩みを共有していくように心がけたいですね。 性生活が難しいときは、手を繋ぐ、キスをする、ハグをするなど、性生活以外のコミュニケーションも意識して、気分が乗らない時は素直に自分の気持ちを言葉にできる良好なパートナーシップを築いていきましょう。

気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 わが国の妊娠・分娩・産褥期における性生活・性機能に関する文献検討,埼玉医科大学看護学科紀要,2016

※2 Human+Baby+お医者さんがつくった妊娠・出産の本,公益社団法人 日本産科婦人科学会,2015

※3 赤ちゃんとお母さんの感染予防対策5ヶ条,日本周産期・新生児医学会、日本小児科学会、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会, 2013 年 5 月 29 日改訂

※4 マタニティStyle,コスミック出版,2011

※5 中元めぐみ,妊娠中の性生活と切迫早産に関する関連要因の検討,日本母性衛生学会, 2005,P471-480


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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