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【助産師執筆】妊娠36週
これ大丈夫?病院受診のタイミングを知り、
出産までリラックスして過ごそう


妊娠36週に入りましたね。今回も赤ちゃんとママの様子をみていきましょう。
この時期の赤ちゃんの体重は1900~3100g程度※1と個体差が大きい時期ですね。赤ちゃんはだいぶ大きくなり、子宮の空きスペースが少なくなるため、自由に動きにくくなります※2。しかし、手足は元気に動かせるので胎動はしっかり感じられ、痛く感じるママもいます。
また子宮は更に大きくなり、足元が見えにくくなります※3。少しの段差や階段などでもバランスを崩して転ばないように、階段は手すりを使うなど普段よりも気をつけて生活してくださいね。身体が思うように動かない時もあるので、時間にゆとりを持って行動するのも大切です。
さて、出産予定日が近くなり、ドキドキしている方も多いのではないでしょうか?今回は安心して出産まで過ごせるよう、病院に連絡が必要なタイミングについてお話しします。

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  • 陣痛や破水をしたら病院に連絡しよう
  • おしるしや前駆陣痛は心の準備をするサイン
  • いつもと違う症状があった時も病院に連絡しよう

お産が近い2つのサイン※2

1.おしるし
おしるしは子宮が収縮し、子宮の壁から赤ちゃんを包んでいる卵膜が剥がれた時に出る少量の出血のことを言います。
色は茶色、ピンク色、鮮血と個人差があります。おしるしがあってすぐに陣痛が始まる人もいれば、次の妊婦健診まで何もなかったという人もいます。ですので、おしるしがあっても慌てずに普段通りの生活を続けて大丈夫です。しかし、出血量が多い場合は、破水していたり、胎盤にトラブルが起きている可能性がありますので、病院に連絡しましょう。
2.前駆陣痛
妊娠後期に入ると、お産に向けて少しずつ陣痛を起こす準備が始まります。よく動いた後や、胎動の後におなかが張ったり、硬くなる事が多くなります。張るだけでなく、痛みを感じることもあり、陣痛が始まったかな?と思うかもしれません。しかし間隔を測定しても、10分、30分、15分と不規則で定まらなかったり、寝る前には少し痛かったけれど眠れた、といった不規則なおなかの張りであることも多く、そのような子宮の収縮や痛みを前駆陣痛といいます。
前駆陣痛もおしるしと同様、すぐに本格的な陣痛に繋がる場合もあれば、前駆陣痛が何日も続く場合もあります。普段通りの生活をして陣痛がくるのを待ちましょう。

※ここに注意!
「胎動が減る」のは、お産が近づいたサインではありません。胎動が減ったなと感じた時は、躊躇せずすぐに病院に連絡してくださいね。



お産開始の2つのサイン※3

お産は陣痛から始まる人と破水から始まる人がいます。どちらから始まったとしても焦らなくて大丈夫です。落ち着いて病院へ連絡しましょう。

1.陣痛
陣痛は赤ちゃんを押し出すために子宮が収縮する時に感じる痛みのことです。
前駆陣痛との違いは規則的な痛みで、10分に1回、または1時間に6回以上の痛みがあり、間隔もだんだん短くなっていくものをいいます。初産婦さんはこのタイミングで病院に連絡しましょう。
経産婦さんは前回の出産時間や自宅からの距離に応じて変わってきます。出産までの時間が初産婦さんより短くなる傾向にあることはもちろん、上の子を家族に預ける等、病院に行くまでの準備に時間がかかることがあるので、10~15分間隔が病院に連絡する目安になります。

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2.破水
破水は赤ちゃんを包む卵膜が破れて羊水が流れ出てくることをいいます。
子宮口が開いてから破水する場合が多いですが、陣痛が始まる前に破水することもあります。羊水の出る量も様々で、尿漏れとの区別が難しい少量の場合もあれば、動くたびに羊水が流れ、夜用のナプキンが必要なくらい多量の場合もあります。
破水すると膜が破れた所から細菌が入り感染しやすい状態になるため、病院では発熱していないか、赤ちゃんの様子に変化はないかなど経過を見る必要があります。シャワーや入浴も感染のリスクがあるため、破水かな?と感じた場合は必ず病院に連絡しましょう。

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その他、病院に連絡が必要なサイン

ここからは少し心配なサインをお伝えします。不安になってしまう方もいるかもしれませんが、正しい知識を持つことはとても大切なので、是非覚えておいて下さいね。

●赤ちゃんの胎動
お産の時期が近くなると、赤ちゃんの頭は少しずつ下がり、骨盤の中に入ってきます。すると、頭が固定されるので今までよりは胎動を感じにくくなります。しかし産まれるその時まで胎動がなくなることはありません。
日中などママが動いていたりすると胎動を感じにくくなる場合もあるので、胎動を感じないな、おかしいなと心配になった時は少し横になって胎動の確認をしてみましょう。赤ちゃんは通常20~40分のサイクルで寝たり起きたりを繰り返しています。何時間も胎動を感じない場合はすぐに病院へ連絡しましょう※4
●出血
少量の出血であればおしるしの可能性が高いため、普段通りに生活して構いません。しかし、生理2~3日目のようなサラサラした出血や血の塊が出るような場合は心配なので病院に連絡しましょう。その際、夜用の清潔なナプキンをあてておくと安心です。
その他、病院で胎盤の位置が子宮口に近い、子宮口を覆っていると言われている方は少量の出血でも病院に連絡しましょう。(警告出血といいます。)

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●腹痛
陣痛は時間の経過とともに、痛みの強さも強く、間隔も短くなりますが、赤ちゃんが産まれる直前まで、必ず間欠期という陣痛がおさまる時間があります。
しかし痛みがおさまらない、おなかがずっと硬いままであるといった場合は、常位胎盤早期剥離の可能性があります。これは通常赤ちゃんが産まれてから剥がれる胎盤が先に剥がれてしまう病気です。胎盤が先に剥がれてしまうと赤ちゃんに酸素や栄養が届かなくなるため、とても危険です。素早い処置が必要になるので、すぐに病院に連絡しましょう。



いかがでしたか?出産予定日が近くなると、不安も大きくなる時期かと思います。正しい知識を持つことで解消されたり、パートナーとポジティブな気持ちもネガティブな気持ちも共有しながら過ごせると良いですね。
病院の医師や助産師はいつでもあなたの味方です。不安な気持ちは遠慮なく相談してみてください。

また、気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 胎児計測と胎児発育曲線について ,日本産科婦人科学会周産期委員会,2022/6/23閲覧,
https://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/PUB/ninken/jsog_20111024.pdf

※2 中村公則荻田和秀 最新改訂版らくらくあんしん妊娠・出産,学研プラス,2021

※3 株式会社ベビーカレンダー,最新 妊娠・出産オールガイド,新星出版社,2021

※4 胎動が多いか少ないかわからないです,女性の健康Q&A,日本産婦人科医会,2022/6/23閲覧,
https://www.jaog.or.jp/qa/confinement/200805/


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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