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【助産師執筆】妊娠38週
お産ってどんなふうに進むのかな?
出産のイメージを膨らませよう


妊娠38週に入りましたね。今週も赤ちゃんとママの様子を見ていきましょう。この時期の赤ちゃんの体重は2200~3500g※1で、日に日に体重は増加し、さらに皮下脂肪が増えます。髪の毛もしっかり生えていますが毛量にはかなり個人差があります※2。生まれてからも髪の毛の伸びるスピードや生えてくる時期は赤ちゃんごとに様々です。
ママは赤ちゃんの胎動やホルモンの影響で、夜間にぐっすり眠れない日も増え、寝不足になりやすいです。そんな時は無理せず、日中に仮眠を取るようにして下さい。お産に向けて骨盤も緩みがちで腰痛が悪化しやすい時期ですね。みなさんはいかがですか?
そして38週にもなれば予定日が近づき、お産への不安が大きい方もいるのではないでしょうか。今回は少しでもお産をイメージしていただくために、経膣分娩でのお産の流れについてお話しします。陣痛はたしかに痛いですが、とても大切な役割があります。陣痛の始まりから、赤ちゃんが産まれてくる瞬間までを一緒にイメージして出産に備えましょう。

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  • お産は大きく分けて4つの時期がある
  • お産についてパートナーや家族とイメージしてみよう
  • 特に陣痛中はできることがいろいろある
  • 家族にも協力してもらい、自分の心地よいを考えよう

赤ちゃんが産まれるまでにどれくらい時間がかかるの?※3

お産とは赤ちゃんや胎盤、羊水などがママの身体から外に出される(娩出する)ことをいいます。お産にかかる時間は本当にさまざまですが、お産の回数によって短くなる傾向があります。
陣痛が開始してから、初産婦さんは平均11~15時間経産婦さんは平均時間6~8時間といわれています。しかし、これはあくまで目安です。経産婦さんでも長く時間がかかる場合もあれば、初産婦さんでも短い時間でお産をされる方もいます。焦らずママと赤ちゃんのペースを大切にしましょう。


お産には大きく分けて4つの時期がある※2, 4

お産は4つの時期に分けることができます。第1期から順番に、自身のお産をイメージしながらみていきましょう。記事の途中に、アカチャンホンポが制作したお産に関する動画もありますのでぜひご覧くださいね。

●分娩第1期
分娩第1期は、本格的な陣痛の開始から子宮口(子宮の出口)が全開(10㎝)するまでの期間をいいます。
陣痛の間隔は8~10分くらいから始まり、だんだんと短くなっていきます。子宮口が5㎝くらいの時は5分前後、8㎝くらいの時は3分前後がひとつの目安です。陣痛の強さも陣痛の長さも徐々に強く、長くなっていきます。赤ちゃんも少しずつ下がってくるので、痛みの部位も変化していきます。陣痛開始時は下腹部あたりの痛みを訴える方が多いですが、徐々に腰、腰の下、おしりへ下がってきます。そしていきみたい感じが出てきます。


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ママの過ごし方ポイント
この時期はママも家族も、できることがたくさんあります。助産師おすすめの過ごし方を紹介します。

  • ママは陣痛中に動作を止めたくなるくらい痛みが強くなってきたら、呼吸法を積極的に行いましょう。息を吸う事よりも細く長く吐くことに集中するとGOOD。ゆっくり、鼻から吸って口から吐くようにすると力を抜きやすいです。
  • 立ったり、座ったり、横になったり、楽に過ごせる姿勢を探してみましょう。
  • 適度に動いたり話したりして気分転換しましょう。
  • アロマや音楽などリラックスできるものを取り入れましょう。
  • 腰が痛い時はカイロを腰に貼るのも良いですね。あずきカイロもおすすめ。
  • 食事は、取れる時に食べたいものを。
  • 食事が取れない時は糖分が含まれた飲料を摂取しましょう。スポーツドリンクなどがいいですね。
  • 手先や足先が冷えないようにしましょう。
  • 動くのが辛い時もありますが、定期的にトイレに行きましょう。

パートナーや家族ができること

  • 腰や背中など心地よい場所をさすりましょう。
  • ママは不安でいっぱいです、優しく声をかけましょう。
  • 暑そうであればうちわであおぎましょう。
  • ママの身体に力が入っていたら、間欠時(痛くない時)に声を掛けたり、さすったりして力が抜けるようにしましょう。
  • おしりが押される感じがでてきたら、テニスボールやこぶしでおしりを押しましょう。

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●分娩第2期
分娩第2期は、子宮口が全開(10㎝)してから、赤ちゃんが産まれるまでの期間をいいます。陣痛の間隔は1~2分となり、陣痛の強さもピークに達します。いきみたい感じもより強くなります。

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ママの過ごし方ポイント

  • 陣痛のタイミングと助産師の声掛けに合わせていきんでみましょう。
  • 足は足台にしっかり置き、蹴るように力を入れましょう。
  • 手はレバーを握り、自分の方へ引くように力を入れましょう。
  • 目線はおへその方を見るように、目は閉じずにしっかり開き、身体を丸めましょう。
  • おしりは分娩台につけたまま、浮かないようにしましょう。
  • 力が分散されてしまうため、いきんでいる時は声や息が漏れないようにする。
  • 赤ちゃんの頭が出たらもう少し。ハッハッハッと短い呼吸を行いましょう。
  • 赤ちゃんが産まれる瞬間は力を抜き、いきむのをやめましょう。レバーから手を離し胸の上に置くといいですね。

パートナーや家族ができること

  • いきまない方が良い時期はいきみが軽減できるようにおしりの圧迫を行いましょう。
  • 汗がたくさん出る時期です、うちわであおぎましょう。
  • いきんでいない時に、汗を拭きましょう。
  • いきむ時は身体を丸めやすいよう、ママの肩から首にかけて支えましょう。
●分娩第3期
分娩第3期は、赤ちゃんが産まれてから胎盤が出るまでの期間のことです。お産が終わるまでもうすぐです。この時期には、少し子宮が収縮する痛みを感じることもあります。しかし、赤ちゃんが産まれてから胎盤が出るまでは10~20分程度です。病院によっては赤ちゃんの写真を撮ったり、抱っこする場合もあります。

ママの過ごし方ポイント

  • 胎盤が出るまでゆっくり深呼吸をしましょう。
  • 水分を取ったり、赤ちゃんを眺めたりしながらリラックスしましょう。
  • ほとんどの場合、強い痛みは感じません。痛すぎると感じるときは医師や助産師に伝えましょう。

●分娩第4期
分娩第4期は、胎盤が出てから2時間経過するまでの期間です。出血が増えないように注意する時期として、分娩期間に含まれています。この時間に会陰に傷がある場合は縫合を行います。赤ちゃんも身体を拭いたり、身体計測を行います。 ママも赤ちゃんも状態が落ち着いていたら、抱っこや面会を行います。

ママの過ごし方ポイント

  • 赤ちゃんと対面し家族の時間を過ごしましょう。
  • 疲労感が強い場合は無理せず休みましょう。
  • 積極的に水や食事を取りましょう。
  • 母乳希望の場合は赤ちゃんの様子をみながら授乳ができます。

よくある質問!内診のぐりぐりってなに?いつやるの?

出産予定日が近くなると妊婦健診の時に内診が始まりますね。多くの方がすでに経験されているかもしれません。内診では、子宮口の位置や柔らかさ、開き具合を確認して、お産に向けての準備が進んでいるかを確認していきます。また39週~41週くらいになると内診の時に指で刺激を行うこともあり、これを卵膜用手剥離といいます※3
SNSなどではこれを内診ぐりぐりと表現され、陣痛を起こすために内診ぐりぐりされると言われたりします。これは子宮口付近の卵膜を指で剥離させるとそれが刺激となり、陣痛が始まる事があるからなんです。外来では「少しぐりぐりするね」「少し刺激しておくね」と声をかける場合が多いです。
卵膜用手剥離を行った後はおしるし程度の出血や前駆陣痛のようなおなかの張りを感じることが多いですが、必ずお産が始まるというわけではありません。普段通りの生活を心がけ、リラックスして過ごしましょう。


いかがでしたか?陣痛は痛いですがリラックスする事や陣痛を受け入れる事で、自分らしい出産ができるようになります。今おなかにいる赤ちゃんを産むのは一度きりの経験です。赤ちゃんと心で会話しながら、家族や医療者のサポートを受け、一生に一度の時間を大切に過ごしてくださいね。赤ちゃんもママやパパに会えるのを楽しみにしてお産を乗り越えてきます。お産について不安や気になる事がある時は、病院の医師や助産師に相談してみましょう。

また、その他でも気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 胎児計測と胎児発育曲線について ,日本産科婦人科学会周産期委員会 ,2022/7/25閲覧,
https://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/PUB/ninken/jsog_20111024.pdf

※2 株式会社ベビーカレンダー,最新妊娠・出産オールガイド,新星出版社,2021

※3 今日の助産,南江堂,2012,

※4 荻田和秀,最新改訂版らくらくあんしん妊娠・出産,学研プラス,2021


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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