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【助産師執筆】産後21週(産後5ヵ月)
そろそろ離乳食始めたほうがいいの?
そう思ったらまず読んでほしい、助産師が教える離乳食の始め方

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赤ちゃんの体もだいぶしっかりとしてきましたね。色んな事に対して好奇心旺盛になり、大人が食べているものに興味を持ち始める赤ちゃんもいるのではないでしょうか。そして、いよいよ赤ちゃんは母乳やミルク以外も摂れる時期になってきました。初めての離乳食に楽しみ半分、不安半分といったところではないでしょうか。今日は離乳食の開始に向けて、お伝えしたいと思います。

  • 離乳食は遅くても6ヵ月頃には開始しよう
  • あくまでも足りていない栄養を補足するのが離乳食
  • 新しい食材を始めるのは、遅すぎても良くない
  • 自分に合った方法で離乳食準備をすることが大切

離乳食を始める時期は?※1

こんな様子が見られたら赤ちゃんは準備OK

  • 首がしっかりとすわっている
  • 支えると座れる
  • 食べ物に興味を示す
  • スプーンなどを口に入れても舌で押し出す事が少なくなる

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これらのサインが見られたら、そろそろ離乳食を始めても良いかと思います。生後5〜6ヵ月になると、「ごっくん」と飲み込む動きを徐々に獲得し始め、意図的に舌を動かせるようになります。食べ物を奥に送れるようになっていく前段階ですね。お子さんの口の大きさにあったスプーンを用意し、口の前方に食べ物を乗せ、自分で奥に送れるようにしてあげましょう。

遅くても6ヵ月から始める理由※2

赤ちゃんの活動範囲も徐々に広がり、生後6ヵ月ごろから母乳やミルクから得られるエネルギー量と、必要とするエネルギー量に差が生じてきます。また、赤ちゃんは生まれた時に生後早期の必要量を十分に補えるだけの鉄分を持って生まれるのですが、この貯蔵鉄は生後約6ヵ月までに使い果たされてしまいます。母乳やミルクから得られる鉄分は非常に少なく、成長発達や情緒の発達にも影響が出てしまうのです。十分なエネルギーや栄養素を摂取するために、6ヵ月ごろまでには離乳食を開始しましょう。

早く始めすぎることにも注意が必要!

早めに始めたいという方は、次のポイントを確認してみてください。

チェックポイント

  • 消化機能の発達を待ち、早くても生後4ヵ月から
  • 何度も授乳してもすぐに空腹になってしまう
  • 適切に体重が増加していない

生後4~6ヵ月の間で、ゆとりがあるときや家族がお休みの時などに始めてみるのも良いですね。「一度始めたらやめてはいけない!」と思ってしまう方もいるかもしれません。確かに、生活の中でおおまかに時間を決めて、生活リズムを作っていくことも大切ですが、少しお休みしたり、2回食が1回食になってしまった!という日があっても大丈夫です。あまり構え過ぎずに楽しく食事を始めていきましょう。


離乳食の進め方のポイント

離乳食の基本の進め方※3

離乳食を進める過程は、離乳初期(生後5~6ヵ月頃)、離乳中期(生後7~8ヵ月頃)、離乳後期(生後9~11ヵ月頃)に分類されます。
離乳初期は、1日1回で、新たな食材の味や舌ざわりを楽しみ、慣れていくことが目的です。「食べさせる」というよりも、「口に入れて感じてもらう」という感覚で楽しんで行ってみてください。
離乳中期は、舌でつぶせる硬さのものを、1日2回食べさせます。10時頃と16時頃というようにおおよその時間を決めて、生活リズムを作っていくことも目的です。
離乳後期は、回数を1日3回にして、食欲に応じて量を増やして行きます。歯ぐきでつぶせる硬さが目安で、子どもも口の中で舌を使って食べ物をコントロールして、ある程度咀嚼(そしゃく)して食べるようになります。

離乳食はあくまでも足りない栄養を補うもの!

離乳食を進めるにあたって、悩むのが授乳の回数です。色々と目安が記載されているのですが、離乳食の進み方に個人差があるため、必要な母乳やミルクの摂取量も赤ちゃんの様子を見て決めてあげましょう。離乳初期は基本的には今まで通りの生活の延長だと思ってください。あまり離乳食が進まない場合は授乳量を減らしてみるという方法もありますが、1歳ごろまで授乳がメインというお子さんも中にはいらっしゃいます。離乳食は”乳から離れる”と書きますが、無理に止めさせるものではありません。あくまでも母乳やミルクでは補えない栄養素を補完するもので、WHO(世界保健機関)では「補完食」という言い方もします。


気になるアレルギーへの対応は?

離乳食を進める上で注意したいのは、食物アレルギーへの対応です。不安に思われる方も多いかもしれませんが、ポイントを理解して、怖がらず色んな食材に挑戦してみましょう。実は、アレルギーを心配して特定の食べ物の開始を遅らせすぎることもあまり良くありません。必要なエネルギーや栄養素が欠乏しないように、適切な時期に始めていきましょう。

新しい食材を始めるタイミングは?

新しい食材にチャレンジするタイミングは、ズバリ、小児科の診療時間内です。小児科にすぐに行けるタイミングで挑戦してみましょう。増やす食材は1日1種類、ごく少量にしておきます。食後30分以内に蕁麻疹が出る、皮膚が腫れるなどの症状が見られる場合は小児科を受診しましょう。激しく嘔吐をする、呼吸が苦しそう、意識がなくぐったりしているという場合は急いで受診しましょう。アレルギーだと分かった食材に関しては、その後は医師の指示に従って摂取していきましょう。

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卵はいつから始めるべき?

特に卵の開始は抵抗感があるママも多いのではないでしょうか。実は6ヵ月頃からの早期に与えることで、アレルギーの発症を予防できることが2016年に明らかにされています※4。また、厚生労働省からのガイドラインでも、卵を与える時期は5~6ヵ月頃と改定されました※3。固ゆでの黄身を耳かき1さじ程度の量から始めましょう。

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先輩ママはこうやって離乳食を準備!

いよいよ離乳食作りについてです!が、気負う必要はなく負担が少ない方法で続けて行きたいですね。先輩ママたちが準備したキッチングッズは、「すり鉢・すりこぎ棒」「離乳食の調理器セット」「ハンドブレンダー」の順で多かったようです※5
おかゆやお野菜がメインの時期は、お米を炊くときに炊飯器で一緒におかゆを作ったり、野菜を柔らかくすると準備しやすいです。また、例えばお味噌汁を作る過程でゆでた野菜を取り出してすりつぶすなど、取り分けでも簡単に離乳食を準備することができます。
作り置きが得意なママパパは、小分けの冷凍トレーを利用してストックしておくのも良いですね。冷凍保存は早めに使うに越したことはありませんが、長くても1ヵ月以内に使用しましょう。大切なのは、再加熱です。75度以上で1分間加熱すると食中毒の原因となる菌の多くは死滅します※6

市販のベビーフードもとても種類が豊富です。この時期は離乳食も大切ですが、赤ちゃんの発達が著しい時期。ますます目が離せなくなるため、離乳食づくりがストレスになることも多々あります。そんな時は、市販品を上手に活用しましょう。最近ではベビーフードのサブスクもありますので、購入の手間も省けますよ。
このようなレトルトの離乳食は、災害時のためにも是非常備しておいて欲しいです。避難所には、大人用の食事は準備されますが、離乳食が支給されるには時間がかかります。いざという時のためにも備えておきたいですね。

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いかがでしたでしょうか。離乳食を進めるにあたって、食卓の雰囲気もとても大切です。そのためにも、まずはママやパパが楽しんで実施してみてください。

気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 中野綾美, ナーシンググラフィカ小児看護学①小児の発達と看護, 株式会社メディカ出版, 2013, 90,105

※2 補完食「母乳で育っている子どもの家庭の食事」,WHO,日本ラクテーション・コンサルタント協会, 2006年4月, 6-7
https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/66389/WHO_NHD_00.1_jpn.pdf

※3 授乳・離乳の支援ガイド ,厚生労働省, 2019, 30-31
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf

※4 離乳期早期の鶏卵摂取は鶏卵アレルギー発症を予防することを発見,国立成育医療研究センター, 2022/7/9閲覧,
https://www.ncchd.go.jp/press/2016/egg.html

※5 1268人に聞きました!はじめての離乳食、教えて!, 株式会社赤ちゃん本舗, 2021年8月25日, 2022/7/9閲覧,
https://www.akachan.jp/clife/2108_01.html

※6 家族の健康を脅かす食中毒予防ガイド, 東京都社団法人東京都食品衛生協会,2022/7/9閲覧,
https://www.toshoku.or.jp/eiseijigyo/201210pdf/201212-1.pdf


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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