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【助産師執筆】産後48週(産後12ヵ月)
次の子どもはどうしよう?
家族計画を立てるタイミングとポイント

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とうとう1歳のお誕生日ですね。お子さまと過ごした1年は、どんな1年でしたか?ママもパパも慣れない育児に苦戦したり、共に成長を喜んだり、本当に色々なことを乗り越えてきたと思います。そして明日からも、またたくさんのことが待っています。赤ちゃんのお祝いはもちろん、ママやパパの1年記念日としてお祝いをして、今までのことやこれからのことについてゆっくりお話しする時間が持てると良いですね。
今回はそんな未来の家族のかたちに関するお話です。この時期は、いつ、何人子どもを望むか考え、自分の身体や心、家族と向き合うとても良いタイミングです。もちろん、産後様々な状況の変化により、子どもが望めなかったり、環境が変わってしまった人もいるかもしれません。それでも、是非パートナーがいる場合には家族会議を、そうでない場合にはご自身と向き合う時間をとってみましょう。

  • 産後1年経過した心と身体の状態を知ろう
  • お子さまの誕生日は家族計画を再確認する良い時期のひとつ
  • お互いの大切にしたいポイントを考えよう
  • 妊活のイメージをしてみよう

出産から1年経ったママの身体

お産して1年というタイミングは、仕事復帰を考えたり、卒乳を考えたりする方が多い時期になりますね。
生理が再開している人もいれば、まだ生理がこない人、周期がバラバラな人もいると思います。一般的に授乳期間が短いほど生理の再開時期は早くなります。授乳を行わなかった方では産後2~4ヵ月で、授乳を行った方でも6~10ヵ月で再開する事が多いです。
また、断乳後は1ヵ月程度でホルモン値が正常値まで戻るため、1~3ヵ月が生理再開の目安になります。
それから、産後はホルモンバランスの乱れから生理が再開していても排卵していないケースもあります。初回の生理では約30%の方が無排卵です。2周期目では80%、3周期目では95%の方が排卵するようになります※1。このように、ホルモンバランスは徐々に安定していきます。

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家族計画ってなに?

家族計画とは、いつ頃、何人子どもを授かることを望むのか考え、プランニングすることをいいます。そして自分の気持ちを明確にすることも大切ですが、パートナーの考えを聞いたり、時には上の子の気持を聞くことも大切です。
ライフイベントは、家族計画を考えるおすすめの時期。
家族計画はいつ考えても構いません。学生時代から将来的には子どもがほしいな。と漠然と考えるのも大切な家族計画です。具体的には社会人になった時や結婚や出産などのライフイベントがあった時に改めて考えていくことがおすすめです。
また、家族関係や環境によって気持ちが変わることも自然なことです。その都度パートナーと話し合えるといいですね。そして、妊娠・出産は子宮にかなりの負担がかかります。希望通りにいかないこともあります。特に帝王切開で出産された方は、次のお産までの期間を18ヵ月以上空けることが推奨されています※2。また、赤ちゃんとの生活に慣れてきた1年というタイミングで家族計画を改めて考えるというのは、とても良いことです。

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家族計画を立てる時のポイント

ここからは家族計画を立てる上で大切なポイントについてお話ししていきます。

1.希望する子どもの人数
ひとりっ子のメリットは家族の予定を立てやすかったり、時間をゆっくりかけてあげられるという点があります。きょうだいがいるメリットは、きょうだい間でのコミュニケーションから社会性を学ぶことができることです。子どもは2人でコミュニケーションを学び、3人以上で社会性も学べるという考え方もあります。どちらにもメリットがあるので悩ましいですね。
2.子どもの年齢差
年の近いきょうだいなら、一緒に遊んだり、洋服やおもちゃなどを共有できる部分もあれば、一度にたくさんのお金がかかる場合もあります。3歳差は入学や卒業の時期が重なるので、その時期は時間的にも忙しく、経済的にも負担が大きくなることが予測されます。 また、年齢が近いと上の子の赤ちゃん返りに悩むこともあるかもしれません。年の差がある兄弟ですと上の子が下の子のお世話をしてくれたりと頼りになります。しかし、ご自身の年齢を考えると、数年待つことが難しい場合もあります。
3.経済的な状況
妊娠・出産やその後の育児にお金がかかるだけでなく、仕事をしているママは一時的に働けなくなったり退職したりと、収入が減少したりなくなる場合があります。また、将来的には学校や習い事にもお金が必要になります。
4.出産の間隔
妊娠・出産は子宮への負担が大きいためお休み期間が必要です。特に帝王切開を繰り返す場合や、子宮の手術をした場合には注意が必要です。
5.出産年齢
出産年齢が上昇すると、一般的に妊娠率は低くなります。また、妊娠期間には様々な合併症のリスクが上がります。現在は35歳以上の方を高齢出産と定義しており、代表的な疾患としては妊娠糖尿病妊娠高血圧症候群があります。赤ちゃんへの影響としては先天性の疾患のリスクが高まります。初期の流産は赤ちゃんの染色体異常が原因の大部分を占めていることからも流産率が高くなります。
6.健康状態
妊娠・出産は子宮への負担だけではありません。婦人科的な基礎疾患はもちろん、その他の持病も妊娠に影響する可能性があるので、健康状態に不安がある方は担当医に妊娠への影響や妊娠の時期について相談してみましょう。
7.仕事の状況
産後1年は育休中の方は仕事復帰をしたり、仕事について考えたりする時期ですね。復帰後の仕事内容や勤務時間の調整はもちろん、きょうだいを考えている場合はその点についても視野に入れ、上司や周囲の人に相談できると良いですね。
8.子育てのサポート状況
赤ちゃんとの生活はとても楽しい反面、慣れない育児に上手くいかないことや不安になることもたくさんあります。一度経験していても、2人、3人となると状況は変化するので、サポート状況を考えることはとても大切です。パートナーや両親など、家族のサポートが受けられない方は活用できるサービスや施設、制度、コミュニティなどの社会資源がないか調べてみましょう。
9.教育方針
何歳から保育園や幼稚園に入れるか、習い事をするか、学校は私立なのか公立なのかなど、教育に関する考え方は様々です。それによって、経済的な負担や習い事が多くなればその付き添いや送り迎えなどに時間が必要になる場合もあります。

ポジティブな気持ちで赤ちゃんを迎えるために

家族計画を考えてみて、すぐに授かりたいと考えた方もいれば、数年後に授かりたい方、現時点ではきょうだいを望まない方と考え方は様々だったはずです。そして、そのどれもが大切なあなたとパートナーの家族計画です。その家族計画を実現するためには、自分の身体について正しい知識を持つことが大切です。そして望んだ時に赤ちゃんを迎えるために、健康的な生活を送りましょう。妊娠を希望していても、生理周期が不順であったり、生理がこない場合や、半年~1年程度タイミングをとっても授からない場合は病院の医師や助産師に相談してみると良いですね。
逆に、子どもを望まない方は長期的な避妊が必要になります。避妊方法には様々な選択肢があり、避妊と同時に生理に関連したトラブルを軽減する選択肢もあります。こちらも病院の医師や助産師に相談してみてくださいね。希望する避妊期間や身体の状態に合わせて選択していきましょう。

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いかがでしたか?家族計画を考える中でパートナーと意見が異なることや、すぐに答えが出ないこともあると思います。お二人のペースで考えていきましょう。家族計画に関するお話も助産師の得意分野です。友人や家族はもちろん、お世話になった産院で相談するのも良いですね。

また、気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 産後の避妊方法,公益社団法人日本産婦人科医会,2022/8/3閲覧,
https://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/MEMBERS/TANPA/H13/010813.htm

※2 Interpregnancy Care,American College of Nurse-Midwives and the National Association of Nurse Practitioners in Women’s Health,2019,
https://www.acog.org/clinical/clinical-guidance/obstetric-care-consensus/articles/2019/01/interpregnancy-care


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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