先輩ママ・パパ1219人に聞きました!パパの育児休業、取得時期と期間は?「パパの育児休業」についてリアルな声をお届けします。

妊娠中から少しずつ生活に変化が出てきますが、赤ちゃんが生まれると一気に赤ちゃん中心の生活になります。
産後のママは体の変化が大きく、妊娠前の状態まで回復するのに6~8週間かかると言われています。 産後しっかり回復するためにも、できるなら自分一人ではなく誰かと一緒に育児をするのが理想です。 実家の両親やきょうだい、親戚、友人など、頼る相手は様々ですが、同居するパパがいるなら頼りにしたいところ。

一緒に育児したいけど仕事も忙しい、育児休業(育休)は取れる?時期は?期間は?育休を取ったとして、その間の職場はうまく回る?復帰後の人間関係は?不安なことがたくさんありますよね。
仕事以外にも、「パパが育休を取って、ちゃんとお世話や家事をしてくれるのかな?」というママの不安、「自分が育休を取って、何をどうすればいいんだろう?」というパパの不安もあるでしょう。先輩ママ・パパたちへアンケート調査を行いました。その実態について見てみましょう。

育休とは、正式には「育児休業」と呼ばれ、育児・介護休業法により定められた「子を養育するための休業」です。取得できるのは、原則として1歳に満たない子を養育する男女労働者とされています。 法律上の親子関係がある「子」であれば、実子、養子を問いません。

育児・介護休業法に関する各種資料はコチラ(厚生労働省ホームページ)


Q1 ママの育児休業の取得期間は?(現在休業中の方は、予定の期間)

ママの育児休業の取得期間についてのグラフ

ママの育休で最も多かったのは7~12ヵ月。その次が13ヵ月以上でした。
お子さまの1歳の誕生日まで、もしくはその後の春までという方が多いのでしょうか。 昨今では待機児童問題もあり、育休を延長するケースも多いようです。


Q2 パパは育児休業を取得しましたか?

パパの育児休業の取得有無の割合

育休を取得したパパは27%。産後パパ育休の制度が2022年10月から始まったので、これから少しずつ増えていくのではないでしょうか。


Q3 パパの育児休業の取得開始時期は、いつ頃ですか?

パパの育児休業の取得開始時期についてのグラフ

一番大変な時期である産後すぐから育休を取得したパパが8割近くを占めました。産後すぐは出産で負担のかかった体をしっかり休めながら過ごすのが望ましいですが、昼夜問わず授乳の頻度が高いため細切れ睡眠になりがちです。この時期に、一緒に育児ができる家族がいると心強いですね。
里帰り出産で産後1~2ヵ月後は実家を頼ったという方は、自宅に戻るタイミングで育休を取得するパターンもあるようです。他にも出産予定日の2週間~数日前から取得したという方も数名いらっしゃいました。


Q4 パパが育児休業を取得した期間は、どのくらいですか?

パパの育児休業の取得期間についてのグラフ

育児休業を取得された方のうち、約25%の方が2週間~1ヵ月ほどの期間、育児休業を取得されていました。
「床上げ」という言葉はご存知でしょうか。 床上げとは、出産の疲れが回復してきて体の変化も戻りつつあるため、徐々に日常生活に復帰することを言います。 床上げの時期の目安は産後1ヵ月頃とされていて、それまでの間は重いものを持ったり、 家事をできるだけ控えて無理なく過ごすことが推奨されています。その期間、パパが育休を取得して家事・育児を一緒にしてくれると、心強いですね。

取得期間が一番長い方では、1年半の間、育休を取得されたケースもありました。長い期間で取得された方からは、「本人の希望で取得期間を決めた」という声もありました。
他にも「育児休業給付金の割合が下がる前に復帰した」というケースもありました。会社勤めの場合、育児休業を取得すると会社から給与は支払われませんが、加入している社会保険から育児休業給付金が支払われます。

育児休業給付金の計算方法

育児休業給付金の支給額=休業開始時賃金日額(注1)×支給日数(注2)×67%(育児休業開始から181日目以降は50%)(注3)

注1:原則、育児休業開始前(産前産後休業を取得した被保険者の方が育児休業を取得した場合は、原則として産前産後休業開始前)6か月間または当該休業を開始した日前の2年間に完全な賃金月が6か月に満たない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上である賃金月6か月の間に支払われた賃金(臨時に支払われる賃金と3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く)の総額を180で除して得た額をいいます。
同一の子に係る育児休業について、出生時育児休業給付金を受けている場合は、その時の額となります。

注2:支給日数は、原則30日間、休業終了日の属する支給単位期間は、休業終了日までの日数です。また、支給単位期間の途中で離職した場合、離職日の属する支給単位期間の前の支給単位期間までが支給対象です。

注3:出生時育児休業給付金が支給された日数は、育児休業給付の給付率67%の上限日数である180日に通算されます。

厚生労働省ホームページ「育児休業給付の内容と支給申請手続(被保険者・事業主の皆さまへ)」

上記の通り、育児休業開始から180日間は67%、180日目以降は50%と、支払われる金額が変わります。
この金額が下がる直前のタイミングで仕事復帰をした方も一定数いらっしゃいました。夫婦で育休を取ってしっかり子どもと向き合う時間を長く取ることができればベストですが、子育てをしながら生活していくには安定した収入も欠かせません。金銭面を考慮に入れることも大切ですね。
給付金が出る最大期間の1年2ヵ月取得した方もいらっしゃいました。

ママへの質問として「育休取得期間の理想は?」と尋ねたところ、平均2.9ヵ月という数字が出ました。全体的に、今の取得期間よりも長く取ってほしいと思っているママが多かったです。
その一方で、育休よりも、「毎日定時帰宅してほしい」「日常的に育児してくれるほうが大切」「保育園送迎のために時短勤務にしてほしい」といった声や「ママの仕事復帰の時期にも1ヵ月くらいとってほしい」という声もありました。産後すぐの体が大変な時期だけでなく、幼児期、学童期、さらには成人するまで子育ては続きます。
夫婦でしっかり向きあっていきたいですね。


Q5 パパが育児休業を取得した期間、時期について理由をお聞かせください。

パパの育児休業の取得期間、時期の理由についてのグラフ

パパの育休取得期間については、55%の方がママと相談して決めていました。仕事での立場やその時の業務状況によって、取得できる期間が変わってくると思いますが 夫婦で一緒に支え合いながら産後の大変な時期を乗り越える必要があるので、きちんと話し合いをすることは重要です。お互いの希望と現実的に可能な期間をうまくすり合わせて決めていきましょう。
具体的には、「里帰り出産のため、パパの育休は里帰り終了後自宅に帰ったタイミングで取得するようにした」「上の子のお世話が必要な期間を考慮して」 「上の子の夏休み期間に合わせて取得した」という声がありました。
「入院期間中、上の子のお世話ができるよう会社から提案された」という方もいらっしゃいました。2人目以降の妊娠の場合、産休期間終了後は上のお子さんが保育所に通えなくなるケースが多くあります。(自治体によっては、育休期間中も継続して通える場合があります。)その時期に合わせてパパが育休を取得してお世話をしてくれると、ママの負担が減って少し楽になるかもしれませんね。


Q6 「月の末日に育児休業を取得すると、その月の保険料が免除になる」というのは知っていましたか?

月末に育児休業を取得すると、その月の保険料が免除になることの認知度のグラフ

育休の期間をうまく活用すると、社会保険料の支払いが免除になります。 健康保険法に以下の記述があります。

健康保険法(健康保険法 | e-Gov法令検索)より抜粋

第七章 費用の負担
第百五十九条 育児休業等をしている被保険者(第百五十九条の三の規定の適用を受けている被保険者を除く。次項において同じ。)が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める月の当該被保険者に関する保険料(その育児休業等の期間が一月以下である者については、標準報酬月額に係る保険料に限る。)は、徴収しない。

 その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが異なる場合 その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの月
 その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが同一であり、かつ、当該月における育児休業等の日数として厚生労働省令で定めるところにより計算した日数が十四日以上である場合 当該月
2 被保険者が連続する二以上の育児休業等をしている場合(これに準ずる場合として厚生労働省令で定める場合を含む。)における前項の規定の適用については、その全部を一の育児休業等とみなす。

健康保険法 | e-Gov法令検索「健康保険法」


Q7 2022年10月から「産後パパ育休(出生時育児休業)」が施行されました。この制度のことは知っていましたか?

「産後パパ育休(出生時育児休業)」の制度の認知度と育休取得のきっかけになったかどうかの割合のグラフ

「産後パパ育休(出生時育児休業)」とは産後8週間以内に4週間(28日)を限度として2回に分けて取得できる休業で、1歳までの育児休業とは別に取得できる制度です。
2022年10月から新たに施行されました。男性の育児休業取得促進のため、取得ニーズが高い子の出生直後の時期(子の出生後8週間以内)に、これまでよりも柔軟で取得しやすい休業として設けられました。労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能です。
産後パパ育休について、「聞いたことはある」という方も含めると94%の方がご存知でした。ただ、詳細についても知っていた方は49%と約半数。また、育休を取得し、かつ産後パパ育休(出生時育児休業)の詳細をご存知だった方のうち約3割が「産後パパ育休」が育休取得のきっかけになったと回答しました。 これから少しずつ浸透し、知られていく制度になるでしょう。

Q8 【ママへの質問】パパの育児休業、取得してもらってよかったですか?

パパの育児休業、取得してもらってよかったですか?への回答の割合のグラフ

【ママへの質問】パパに育児休業を取得してもらって良かったと思う理由は何ですか?への回答の割合のグラフ

パパに育児休業を取得してもらって「よかった」と回答した方は80%以上!一番の理由は「育児の大変さを分かち合える関係性が作れた」でした。
他にも「子どもの世話ができるようになった」「家族の思い出ができた」「子どもの悩みに相談できる関係性が作れた」などの声がありました。産後の大変な時期を一緒に乗り越えることができれば 共に育児を楽しみ、苦労を分かち合う戦友のような存在になっていくのかもしれませんね。

Q9 【ママへの質問】パパの育休中、困ったことはありましたか?

【ママへの質問】パパの育休中、困ったことはありましたか?への回答一覧

もちろん、パパの育休も良い面ばかりではないのが実情です。
「困ったことはなかった」という方が半数以上を占める一方で、「家事してもらえなかった」「育児してもらえなかった」「子ども中心の生活にしてもらえなかった」「寝てばかりだった」「ゲームやスマホばかりだった」「仕事の連絡がたびたび入って家事や育児に専念できなかった」等の声も一定数見られます。
育児休業は「育児に専念するために労働を免除される期間」のことであって、自由に時間を使うための休みではありません。取得する本人はもちろん、会社の上司・同僚も本来の目的を正しく認識しておきたいですね。

赤ちゃんのお世話について、事前に両親学級や動画などで勉強し、イメージトレーニングを重ねておくことも大切です。ママは出産した病院で助産師さんから教わることができますが、パパは退院後からお世話開始という方が多いでしょう。
実際に赤ちゃんを目の前にすると、力加減がわからず戸惑い、すでに数日ほど赤ちゃんのお世話をしてきているママにお任せしたくなる気持ちも出てくるかもしれませんが、ママもパパも本来のスタートラインは同じ。ママも産院で怖い気持ちがあったかもしれませんが、少しずつやってみて慣れてきただけのことなのです。
パパも少しずつお世話をしてみて、コツをつかんでいきましょう。

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他には、「一緒にいる時間が増えることで、家事や育児に対する価値観に違いがあって衝突することがあった」という声もありました。
ママ・パパ2人とも育休を取ると助け合うことができますが、一緒に過ごす時間が長いと 家事やお子さまのお世話のやり方で気になるところが出てくることもあります。こまめに話し合いをしておくといいですね。


Q10 【パパへの質問】育児休業を取得している間、仕事に関して不安だったことはありますか?

【パパへの質問】育児休業を取得している間、仕事に関して不安だったことはありますか?への回答一覧

育休中、仕事に関連することで「特に不安なことはなかった」という方は約半数、不安があった方の回答としては「自部署の仕事が円滑に進んでいるか不安」「仕事復帰後の上司・同僚との関係性に不安があった」「ブランクを感じることなく円滑に仕事ができるか不安」「仕事復帰後の昇格・昇給に不安があった」「取引先の理解が得られにくかった」という声が見受けられました。
上司、同僚、取引先との関係については、今後男性も育児をすることが当たり前という社会認識に変わっていけば、変化が出てくるのではないでしょうか。

育児以外にもご自身の体調やご家族の介護等、社員が休みを取らざるを得ない状況に陥る可能性は多数あります。
その際に、会社による人員配置や業務配分の見直しが行われ、社員同士が支え合っていく風潮になってほしいものです。


いかがでしたか? 核家族化が進み、近隣に親族がおらず出産・育児のサポートが得られないことも増えてきています。 そんな時に頼りにしたいのは、一緒に生活しているパートナーです。
育休を取得できてもできなくても可能な限り子どもと関わり、お世話をして、 一緒に子育てについて考え、悩み、解決に向かっていける関係を作っていきましょう。そして、子育てを通して、ふとした時に感じられる喜びや楽しさを分かち合っていきましょう。
どうしても二人で育休を取れない時、一人で子育てをする時間が長い時は 産後ケア、ファミリーサポートセンター、自治体の子育て支援センター、ベビーシッターなどの活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか? 皆さんの子育てライフが楽しいものになりますように…。

<調査概要>
調査目的:ママの育休・パパの育休について
実施者:株式会社赤ちゃん本舗
有効回答数:1,219件
調査対象者:アカチャンホンポ会員
調査実施期間:2023年3月18日〜21日